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「それなら…」
「じゃあとりあえずコッチから行くか、あっちから来てもらうか…どっちにする?」
「コッチから行きます、今のシュイにこの街は危険なので…」
「分かった、じゃあ馬車の手配と連絡してみるわ」
俺は部屋から出てホテルのロビーにある電話を使って馬車を手配した。
そして闇医者に電話をかける。
「もしもし…?」
「久しぶりだなー、あたしゃだけど」
相変わらず根暗のような話し方だ、もしかして寝起きか?
「その喋り方……えーと…ユニオンの……思い出せない…ユニ君でいいか、なんの用?」
「ちょっと怪我人を診てほしいんだが」
「分かった、口止め料を含めて一日100万ね」
「じゃあいいや」
「うそうそ!ごめん、待って!切らないで!」
即答で電話を切ろうとしたら直ぐに焦ったように謝ってきた。
「つまらんジョークはヤメろよ」
「みんなはそれでOKしてくれるのに…じゃあ…完治まで色々含めて3万でいいよ、待ってるね」
俺は電話を置いて少年のいる部屋へ向かう。
「よいしょ…と、キリ、俺が少年を運ぶからお前は家に帰れ」
「え?私も行きたいんだけど」
「ダメだ…そこの君も、家に帰るかこの部屋に泊まれ」
「…なんでですか?」
俺が少年を担いで女子二人に指示すると不満そうに返してきた。
「今から往復したら夜になる、夜は悪魔が活発化するから危険なんだよ」
「…この怪我では遅れをとるかもしれませんね」
「私なら大丈夫だよ?」
「特級クラスが出て来たらどうする?今のお前じゃ分が悪い、諦めろ」
俺はそう言い残してホテルの入口で待ってた馬車に乗る。
移動中に何回も寄り道したため、本来なら二時間で着くのに三時間もかかってしまった。
陽も沈み始めて空が夕焼けに染まる。
金を払って馬車を降りて闇医者が居る建物のドアを開けた。
「よいーっす」
「あ、もう来たの?久しぶりだね」
「そだな…5、6年振りか」
中に入ると3、4人のワケありの患者がベッドに寝転がっている。
「忙しい所悪いな」
「別に、いつも通りだから気にしないで」
「よっと…」
俺は空いてるベッドに少年を寝かせた。
「うわ…これは酷い怪我だね」
「一応できる限りの応急措置はしたから一命は取り留めた」
「全治5ヶ月…いや、追加の怪我で全治半年って所だね」
闇医者はペタペタと少年を触って触診する。
触っただけで大体把握できるって凄えな。
「やっぱりお前でもか?」
「なワケ無いでしょ…ちょっと奥に」
ココでは人目がある…と奥の個室に入った。
「アノ材料があれば、そうだな…早くて2週間では完治させられるよ」
もちろんリハビリはかなりキツイけどね、とニコニコ笑う。
「そう言うと思って材料は採ってきた」
俺は移動中に森や山の中に寄り道して採ってきた材料をテーブルの上に広げる。
「流石、準備がいいなぁ」
「コレが料金な、じゃあ任せた」
「ちょっと…僕は3万って言ったよね…?」
コレ、15枚あるじゃん…と呟いた闇医者を無視して建物から出る。
はぁ…なんで俺が見知らぬ野郎の為にこんなめんどくさい事をしなきゃいけないんだか。
最終的に女の子のため、とは言えストレスが溜まるぜ。
「…ミ、ミ」
「うぜえ」
俺に寄ってきた下級悪魔を缶を蹴るがごとく蹴り飛ばした。
なんでこんなに悪魔が出現してるんだ?
またなんか面倒事の予感がするぜ…
「あ、あの!」
「ん?」
馬車の停車場に向かって歩いてると女の人に声をかけられた。
「今、悪魔を祓いましたよね!?」
「は?」
「私…実は視えるんです!」
女の人は興奮しながらズイズイと迫って来る。
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