38
屋敷ほどの大きさの別荘から少し歩いた先にドーム状の建物がある。
大きさは、異国にある東京ドームと呼ばれる物より一回り小さいぐらいだ。
実はこの別荘は少し街外れに建っている。
その敷地は山一つに森二つ分ぐらいで、修練場は森の入口ぐらい…別荘から歩いて3分ぐらいの距離だ。
子供達は外で色々と訓練?をしてるらしいけど、雨の日は修練場の中で出来るようになっている。
掃除は基本的にメイド達がしているが…たまに業者に頼む事もあるらしい。
土地と家だけでおそらく何百億とするだろう。
ソレらは全て俺が捻出した。
養成学校時代に稼いだ金+色んな国の銀行から盗んだ金。
あとは色んな宝石店から盗んだ宝石など…かな?
資産で言えば兆ぐらいはあるかもな。
影移動の特訓も出来たし…一石二兆ってか?
…全然上手くないな、慣れない事はしない方がいいかも。
「おとーさん、今日は剣術ね…今度と言う今度は勝つよ!」
「ほう、今日は自信満々だな」
「当たり前だよ!この半年間ずっと頑張ってたんだから!」
修練場に入り武器庫から模擬剣を取る。
武器庫には色々な模擬の武器があってその種類はおよそ26種類。
武器の数は三桁以上だ。
模擬の剣は鉄製で鞘に納められてるが、刃が無い。
剣の形をしたただの鉄の棒。
だけど抜刀術は使えるし、俺が使えばそこらの騎士とも渡り合える。
斬れ味は皆無、本当にただ技術を磨くだけの模擬剣だ。
修練場の中はただっ広い広場の周りに申し訳程度に客席?が付いてるだけの簡素な作りになっている。
あとはトイレ三つと控室(と言う名の更衣室)と武器庫ぐらいか。
一応建物自体はマグニチュード8までなら耐えられる設計。
訪ねてきた女の子は客席の前の壁に背を預けて俺らを見てる。
「おとーさん行くよ!」
「来い」
今回の手合わせは単純に剣のみを使ったもの。
体術や抜刀体術は禁止。
純粋に剣術や抜刀術と言った技で闘うしかない。
今まで子供達と幾度となく手合わせをした事はあるが未だ俺は無敗だ。
まだまだ若い者には負けん!
キリが走るとすぐさま懐に入られた。
「うお…相変わらず速いな」
「ありがとう!」
一撃目は鞘ごと振ってきた。
受けても避けても二撃目で抜刀される。
俺は左手で鞘を上に振り上げて軌道を逸らす。
「にゃっ!?」
ふはは、姿勢が崩れれば抜刀できまい。
本当の実戦なら姿勢が崩れた流れを利用して体術に繋げるが、今回は体術はナシ。
つまりはスキだらけ。
「ははっ、甘いなー」
「うにゅう!」
娘の胸を触るわけにもいかないので、俺はガラ空きのお腹を右手で撫でた。
「おとーさんセクハラだよ!」
「スキンシップって言うんだよ」
「どっちにしろ犯罪だよ!」
キリはグッと踏み込んで回転しながら剣を抜いて斬りかかる。
娘のお腹を触っただけで犯罪になる世の中だったら大変だな。
「おう?」
キリの剣を抜刀した剣で受け止めると俺のが折れた。
すっげー威力…こりゃ食らったら骨が折れるぜ。
「へへーん!どうだ!」
次々と斬りかかってくるのを折れた剣で防ぐ。
「むー!折れた剣でここまで粘らないでよ!」
「ハンデとして丁度いいだろ?」
俺は笑いながらキリの激しい攻撃を受け流しつつ避ける。
「ココだ!」
折れた剣が弾かれて右腕が上に上がりスキが出来た。
と見せかけたんだが、キリはチャンス!と素早く剣を納めて抜刀技を繰り出す。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます