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「これで終わりだよ…秘技、電流パーンチ!」


「ぐ、あががががががが!!!」



ネーミングセンス。



…可愛いけど…ネーミングセンスをもっと考えて。



確かに分かり易くて直ぐにイメージできるけどさ。



電流パンチは無いだろ。



マキナの技を食らった男は黒焦げになって倒れた。



…確か元々の技名は『スタンインパクト』だったか?



この見た目じゃもう生きてはないだろう。



「あれ?そっちは終わったの?」


「ああ」


「負けちゃったか~、程人君より早く終わると思ったのに…」



お前は真っ向勝負?してるんだから、不意打ちで殺す俺よりは早く終わらないと思う。



「まあいいや…コレで終わりだね、リザリーは手こずってるのかな?」


「さあ?家に帰ってるんじゃないか?」


「…そだね…ふぁ、どうせ明日来ると思うし…寝ようか」



コレの後始末はどうするんだよ。



黒焦げの死体をそのままにしてマキナは自室に戻って行った。



うーん…見た目は黒焦げだけど中身までは黒焦げじゃないよな?



一応影移動で保管庫(特製)に送りエルーの所へ行く。



「なにしてんだよ」


「ん?灰にしようと思ってな」



エルーは金属の箱に二人の死体を詰めていた。



「そこらの畑の肥料にするのか?」


「それいいな!」



ボッと死体の頭の部分から火が出てあっという間に全体に広がる。



火はだんだん色を変え青くなっていくが全くと言うほど煙は出ない。



…すげえ、低温燃焼かよ…しかも青い炎でやる事によって時間が五倍近く短縮されるはずだ。



人一人が低温燃焼で灰になるまで燃え尽きるには3~4時間ほどかかると言われている。



煙が出ないのは内側から徐々に燃やしてるからで、かなりの技術が必要。



見てて30分もしない内に金属の箱の中は灰の山になった。



魔力持ちの無詠唱ってホントに便利だよなぁ…



威力が弱くなるのも、普通の攻撃にプラスすれば弱くても関係ないし。



さっきマキナがやってたようにね。



無詠唱で電気を腕に纏い相手を殴る。



もし相手が魔術で電撃を相殺したとしてもパンチを食らう。



まあ相殺する前に電撃とパンチ両方食らうと思うけど。



この世界での魔術師の常識は『魔術師は離れて戦え』だ。



近距離の接近戦には慣れていない。



だって魔術は遠距離攻撃が一番効果が発揮される、と言うのが世界の常識だもの。



何回も言うと思うが…


リザリー

マキナ

ショコラ

エルーシャ

サマサルト

エリア

タイライン


は特殊で異端な部類の人間だ。



因みにこいつら以外の友人は俺と同じく魔力無し。



リザリー達は魔術が使えるのに、接近戦でも優れている。



更に研究者としてスペシャリストでありながら、戦いのエキスパート。



…そして奴らはリザリーとマキナを除いて全員軍人であると言う……



お前らホントにもうなんなの…?って感じだ。



戦える研究者で全距離死角なしの化物共。



…いや、化物と呼ぶべき人間はいっぱいいるけどさ。



こいつらも俺もその枠内に入ってると思うんだ。



なぜならユニオン兵士養成学校の卒業生だから。



………俺だけ仲間外れだけど。



疎外感が…やっぱ俺ってボッチなの?



証拠が揃いすぎてそろそろ否認するのが苦しくなってきたんだけど…



気づくと金属の箱ごとエルーがいなくなっていた。



疎外感を拭えないまま部屋に戻って寝る事に。



向かう途中、廊下の角で縮こまってた女性研究員に終わった事を伝える。



…さっきエルーが逃がした人かな?



ってか終わったんなら電気ぐらいつければいいのに。



俺は夜目が効くから気にしないけど、他の人達は行動し辛くないか?



あっと…そうだ、一応リザリーの家にでも行ってみるかな。

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