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「何者だ!?」


「そりゃコッチのセリフね」



暗くて見えないのを良い事に、俺は無名を左手に持ち替えて鞘を右手に持つ。



そしてそのまま鞘を横に振る。



「くっ!」


「残念でした~」


「が…!?」



棍棒で鞘をガードさせて、逆手に持った無名を敵の横腹に突き刺した。



「そりゃ」


「はうっ!!」



んでもって相手のアソコを思いっきり蹴り上げる。



両方の痛みで崩れ落ちた男から剣を引き抜き、トドメで頭に突き刺す。



いや~、やっぱり中々強い奴を相手するなら短期決戦だよね。



因みに…俺がやってるのは戦いでは無く、殺し。



強い奴を相手に普通に戦うなんて冗談じゃねえ。



マキナもエルーも良く戦おうと思ったよな…理解できん。



相手が行動に移す前に、素早く息の根を止める。



そうすれば被害も軽く済むのに…武士道…いや、騎士道とか軍人の精神ってやつか?



もしこいつらと明るい所で普通に戦ったとしたら…恐らく一人殺るのに一時間弱ぐらいは時間がかかりそう。



マトモに戦えばの話だけど。



俺でもそれぐらいの時間が取られると言う事は、もしかしたらどこぞの国の騎士団より強いかもしれん。



あ、オーストラリアとは言ってないよ?



まあオーストラリアなんだけどね。



お姫様や王子様達は騎士団のリーダーの5~8倍は強いけど。



流石は王族の血筋、今のお姫様でギリギリ騎士団のリーダーとどっこいどっこいだし。



あと半年…いや半年もしない内に追い越すんじゃねえの?



はぁ…才能って羨ましい。



もしかしたらあのお姫様に追い越される日が来るかも…やべぇ才能が無い俺はうかうかしてられんな。



とりあえず内心軽く焦りつつ、死体と血を影移動させてマキナの下へと再度向かう。



「烈衝拳!」


「ぐふぁ!」


「極・襲爪舞踏!」


「がっ!がっ!ごっ!?げぶ!ごばぁ!!」



…なんだろう、まるで実写版の漫画…アニメか?を見てるようだ。



ってか極・襲爪舞踏って…あの技を極めたんかい。



いや、まあ俺でもできない事は無いから無理ってわけじゃないけど…



遂に天雷古流武術までも極めたか。



やっべ…コレってもしかして、この世界で最強と呼ばれてる武術のほとんどを極めたって事…?




当然異国は除くとしてな。



一応少しは教えたけど、全部教えたわけじゃないし。



だって…なにかしら優位に立てる部分が無いと万が一戦った時に勝てる要素が無くなる。



恐らくマキナと俺の差はツボ押し拳と異国の武術を使えるかどうか…まで迫って来てるだろう。



マキナは最初、型も技も無くただ殴る蹴るで戦ってたのに。



そんで俺が空手と言う祖国の最南端の島の武術を教えてあげたんだよ。



結果は………3日で多分免許皆伝、全ての技と型をマスターした。



驚いたのなんのって、俺は三ヶ月近くかかったのに、な。



それから俺は色々な武術を本で見て練習をしまくった。



そんでソレをマキナにレクチャー。



俺が3日で覚えた型をマキナは2時間で覚え、繰り出す技も俺より強く素早い。



凡人では越えられない才能の差と言う壁…である。



その時に強化魔術、と言う結論に至った。



頑張って魔法陣やルーンを覚え、オリジナルを生み出すまで突き詰めた挙句に……挫折。



俺には魔力が無かったっつー事がこの時は頭から消えていたんだと思う。



バカだねー、ホント。



まあマキナがいかに凄いか、だよね。



つーか凄いって分かってたから友達になるべく頑張ったんだけど。



リザリーも理由は一緒。



決して…決して顔が可愛かったから、とか言う理由じゃないよ?



確かに外見は大事だけど、人は見た目が9割ともいうけれど…



こいつと友達になればあわよくば押し倒し…とか、もしかしたらこいつの友達とかも可愛いかもとか思ってないよ?



美人だったからついナンパまがいで声をかけたんじゃないよ?



こういうボッチは少し優しくしただけですぐに落とせそうだなー。とか微塵…少しも考えて無かったよ?



…ホントだよ?俺がそんな軽いチャラいナンパ男に見えるかい?

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