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そしてやる事もなくただボーッとベンチに座ってると、あの少年がこっちに歩いて来る。



またか…しつこい奴だな。



「あの、用件だけでも聞いてもらえないでしょうか?」


「聞くだけ聞いたらお前は俺の前からいなくなるか?」


「それは…」


「美人な女の子にでもなってから出直せ」


「お願いします!」



少年は最後の手段!とばかりに俺の前で地面に膝を着き頭を下げた。



「やだ」


「…!………じゃあ、コレを…」


「封筒?」



差し出された封筒を受け取り、中を見ると手紙が入っている。



「手紙…?」


「…エリアさんからの、紹介状です」



本当は、用件を言って取り付く島ない時に渡せ。と言われたんですが…と話す。



エリアか、懐かしいな…今はハルトと一緒に何かの研究を進めてるんじゃなかったっけ?



懐かしみながら封筒から手紙を取り出して読む。



『ハロー、テイト、元気?



死んだハズのお前が生きてるって知った時はビックリしたよ。



本当は5年振りに直接会って話したかったんだけど…



俺、今は生産大陸に居るからソコまで行くのが面倒なんだ。



だから手紙で勘弁な。



俺やハルト、ショコラにいつものメンバーはまあ元気だ。



あいつらとは結構頻繁に会ってるけど、みんなお前と会いたがってたぜ?



特にショコラが『リザリー、マキナ、エルーだけズルい!』とよく不貞腐れてるよ。



たまには遊びに来いよ?歓迎してやる(笑)



じゃあな、いつでも待ってるからな!



PS.そいつ主人公みたいで面白いから手を貸してやってくれ。



エリア・ハーネット』



へぇ、もしかしてショコラと同じ研究所に住んでんのかな?



…あの女顔…ショコラに手ぇ出してないだろうな?



もしそうだとしたら羨ま死刑だ!



ショコラは細身でリザリー達と体型は一緒だが…



あの二人よりも胸が大きい。



リザリーとマキナは並乳でショコラは巨乳。



で、あの女顔は巨乳好き。



養成学校時代によくショコラの胸を揉んで、殴られたりビンタされたり…



そう、奴はアホだった。



何も無い所で転ぶ→胸に顔を埋める

歩いてる最中に誰かとぶつかる→胸を揉む

何かにつまずく→押し倒す



いわゆるラッキースケベだ。



俺たちも無い事はないが…奴は結構な頻度でイベントを起こしてる。



マキナとリザリーはやられても特に何も無かった。



ああ、またか…と無反応に近い。



ショコラはやられたら暴力で返す。



その度に俺らがショコラを抑え、宥めていた。



面白い事にスケベイベントで何回か、転んだ時にいつものメンバーの一人の誰か(男)を巻き込んで倒れ…



そいつのアソコを握る、と言う事件が発生。



そのイベント回数とエリアの女顔もあいまってソッチ系と疑われた(ほぼ確信)という事もあった。



実は俺も一回握られかけた。



巻き込まれて転んだ時に、エルーと同じ展開になってたまるか!と必死に転がってなんとか回避できたが。



男女問わずにスケベイベントを発生させる…



それがエリア・ハーネットと言う男だ。



因みに顔は女。



初対面の人は必ず奴を女と間違えるほど、女性的な顔をしている。



髪型は前髪パッツンの常時ポニーテール。



可愛くて美人系統な感じ。



声は中性的………だから間違われる率が高いんだと思われ。



手紙を読み終えて感慨に浸ると自然と口元が笑ってしまう。



…あいつ、今も男に告られてんのかな?



アレは…くくっ、面白かったな。



この笑みには思い出し笑いも含まれている。



少年は手紙を読んで笑っている俺を見て、小さくガッツポーズをした。



「話しだけでも…聞いてください!」



少年はここぞとばかりにさらに頭を深く下げる。



「嫌」



だが俺は断った。



ガーン!と俺を見て少年は固まる。



深々と土下座してる少年を前に話すら聞かない俺を鬼畜だと思うか?



別にどう思われようとも構わない。



…女の子以外には。



女の子には優しく、男には鬼。



コレが俺ね。



まあ今更言うまでもないと思うけど。



「だから言ったのに…無駄だって」



俺が座ってるベンチの後ろからマキナが姿を現した。



「…いつから居たんだよ」


「え?その子と一緒に」



少年に気を取られて全然気づかなかった…



まさかさっきからスタンバってたの?

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