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「チッ…見つかったか」
少年?は現れた少年を見てヨロヨロと立ち上がりながら舌打ちをする。
あの反応はどうやら仲間じゃないらしいなー。
新しく現れた少年を見ると、どこか見覚えのある顔のような…
…ってライナじゃねえか!なんであいつがこんな所にいるんだよ…
「ライナ、お前…」
「アレ?とう、さん…?なんでこにに…!?ってああ!」
ライナが俺を見て驚愕すると、いつの間にか少年?の姿は消えていた。
「ソレはこっちのセリフだ、学校はどうしたんだよ」
「それどころじゃないから休んでるんだよ…それよりなんで父さんが?」
こいつはライナ、俺が拾った子供の内の一人で今はメイド達が面倒を見ている。
なのに…どうしてここにいるのやら。
一応父さん、と呼ばれてるがこいつは今16歳。
俺とは一回りの半分ぐらいしか歳は離れていない。
歳の差的には兄さん、の方がしっくりくるんだけど…
下の娘達が俺の事を父さん父さんと呼んでたから自然にそうなったんだろう。
「あいつらには説明したのか?」
「姉さん達にはちゃんと分かってもらったよ」
「俺は何も聞いてないんだが?」
ビクッと一瞬体を震わせて目線を泳がす。
「…えーと…姉さん達が父さんとは連絡がつかないって、言ってたから…」
「そういや登録してねぇな、よし電話してみよう」
「わー!ごめんなさい!父さんに言ったら反対されると思ったんだ!」
俺が無線機を取り出すと焦ったように謝り始める。
「父さん最近見ないから言わなくてもいいかなー、って思って…」
「まあ二、三ヶ月に一回ぐらいしか顔出さないしな」
あの家で俺を覚えてるのはこの長男と、長女…あと最近入ったハイブリッド体の少女ぐらいか?
「とりあえず、宿に戻るか…詳しい話はソコで聞くよ」
「うん」
ライナと一緒に宿に戻り、なぜここにいるか?の詳細を聞き出した。
ライナの話は一時間に及んだ。
ガッツリ要約すると…あの少年は友達で、魔道堕ちから救うために戦ってるらしい。
…主人公かよ。
まあありえない事では無いけどな。
俺が拾ったのは全員が主人公属性の持ち主だし。
親がいない、親に捨てられたのはもちろん…
元々の力が強い
才能を秘めてる
主人公のオーラが出てる(言わば運命力?)
後は顔が良い…とか。
特に顔面偏差値には拘ってるため、最低でも85以上…上の中以上しか居ない。
最低の85は最近入ったハイブリッド体の少女なんだけど。
目の前のこいつの顔も、もちろんイケメンだ。
顔面偏差値に換算すると93ぐらいか?
まあそんな主人公属性を持ってる奴らを育ててるわけだから、こんな展開になるだろう…とは思っていたさ。
だが本当になるとは思わなかった。
恐るべし主人公の宿命。
因みに、さっきの少年はどうやら冥界から魔獣を召喚して操る術を使うんだと。
いわゆる魔道に堕ちた人間…悪魔に唆された哀れな子羊だ。
何かしらの弱みに付け込まれたんだろう。
だけど悪魔の存在は視えなかったな…操る、取り憑く気は無いのか?
ああ…後この俺でさえ魔獣の気配を感じ無かったのは、結界のせいだとよ。
くそっ、少し考えれば直ぐに分かるようなもんなのに…
まんまとハメられちまったぜ。
「…父さん、ナニしてるの?」
「見て分からんか?武器を研いでるんだよ」
「いや…凄い手際が速いから…磨いてるのかなー?って」
手入れはちゃんとしないと斬れ味は落ちるからな。
それより、あいつが居なくなったって事は魔獣はもう出てこないのか?
まあ念には念を入れとかないと。
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