30
「…そう、だったんですか…」
「てめえららしくねぇ軽はずみな行動を取りやがって…アレが世に出回ったら責任取れよ?」
「…ええ」
「責任は取るよ………その時は責任取って、程人君のお嫁さんになる」
「そうね、私も責任を取って程人のお嫁さんになるわ」
は!?いやいやいや!!おかしいだろ!!…おかしいよな!?
なんだこの流れ…え?ちょっと待って、すっげー真剣な顔で何言ってんの??
お前らの頭大丈夫?俺は今めっちゃパニックなんだけど。
一旦冷静になろうか、うん。
「お前ら言ってる意味、分かる?」
「「分かってる」」
「………なんで結婚?」
「だって…研究がパーになるって事でしょ?そしたら金が入らないから稼げなくなる…最終的に生活に困るから私が養ってあげるよ、って」
「右に同じね、大丈夫よ…私は貴方がヒモでも愛してあげるわ……上辺だけ」
上辺だけかよ!ってか違ぇ!ソコじゃねえよ!お互いの考えが合ってねぇし!
なんだこのチグハグ感…まるでお笑いみたいやわー…
なんかもう今ので一気にどうでもよくなったわぁ。
もしかしたらソレが狙いだったかもしれんけどさ。
「はぁー…もういいや、めんどくせ」
俺は壁から手を離して床に座り込む。
「え?」
クレインはキョトンとして二人は何か目配せしてた。
…やっぱりあれはワザとだったのか?
まあいいや…っと。
「クレイン、コレやる」
「え?ふわ!?…と!」
ポーチから硬球と同じぐらいの大きさの鉱石を取り出して軽く投げた。
クレインは落としそうになりながらもなんとかキャッチする。
「ソレ、本場魔界の奥地から採ってきた超希少な天然の魔鉱石だ…やるよ」
この天然石は俺が作った人工石とは比べものにならないぐらい質が良い。
やはり俺の努力だけの研究では天然物より遥かに劣るアレが限界らしいな。
所詮は紛い物…と言うべきか、悲しき現実である。
まあそのおかげで争いはまだまだ激化しない…と思えば慰めぐらいにはなるよな。
つーか、まず天然物ってなんだよ…って話だよね。
リザリーとマキナもクレインが持ってる石を凝視してるし…ってあ、奪い取った。
いや、貸して?と聞いてたから奪っては無いか。
「ソレは、魔力を当てれば形状変化するよ」
なんと驚く事にこの鉱石、見た目の約15倍の質量がある事が分かった。
実は人工の魔鉱石も質量が見た目の10倍ほどあるが…ある場所の最下層からしか採れない特殊な鉱石だ。
その質量保存の法則ギリギリのアレを知ったから研究したわけなんだけどね。
リザリーとマキナが天然の魔鉱石を堪能し尽くした後にクレインが魔力を当てた…らしい。
形状は腕に装着するタイプの超小型ボウガンだった。
ボウガンか…?だよな?多分。
…って事は中・遠距離からの支援型と言った所か。
クレインの二の腕と同じぐらいの長さでシャープな形をしている。
似たようなのを何回か見た事があるが…あんな小型の装着型を見たのは初めてだ。
「…クレイン、ちょっと貸してくれ」
「え?すいません…外し方が分からないです」
「多分こうね…で、こう」
リザリーとマキナが色々と工夫して腕から外す。
「ふ~む…」
俺は天然の魔鉱石から出来た超小型ボウガンをマジマジと観察する。
魔族が使ってた物に似てるな…アレは確か使わない時はブレスレットの形状になってたけど…
コレも形状記憶合金みたいな能力があるのか…?
攻撃はおそらく魔力を魔術みたいに矢に変換して放つタイプだろうが…うーむ、調べ甲斐がありそう。
「ほい、返す…もしかしたら使わない時はブレスレットみたいにできるかもな」
クレインにボウガンを返してイメージするように促す。
するとボウガンがパッと銀色のブレスレット?に変わる。
「…!ホントだ!凄い!なんで分かったんですか?」
「似たような物を見た事があってな」
直ぐにできるなんて思わなかった…やはりコイツも才能を持つ人間の部類か。
血筋的には当然と言えば当然なんだが、なんか釈然としねぇな。
そのままクレインを教室に返してリザリーとマキナは残した。
「で、どうすっかねぇ」
「…バレない事を祈るしかないわ」
「そうだね」
さすがに魔鉱石から出来た武器を片っ端から回収するのもアレだしな…
「もうバレたらバレたで研究者を殺せばいっか」
「その方法があったわね…アンテナを伸ばしておかないと…」
結論!『バレたら魔鉱石を解析してる研究者を殺す』で決定。
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