08

「どこでこんな術式を調べたの?」


「ん?ああ、怪しげな魔導書」


「なによソレ…」



つい最近、マキナに誘われて気晴らしで行ったフリーマーケットで変な本を手に入れた。



手に入れた、って言うか買ったんだけど。



古臭い本だな。って手に取ってパラパラめくったら色々な魔術の事が書かれてて…なんとなく買っちゃった的な?



そんなこんなで魔導書ハテナをフリマで5冊ぐらい買った。



「もしかしてあのフリーマーケットで買ったボロい本?」


「そう、それ」


「…あの古臭い本って魔導書だったのか…」



三人とも胡散臭そうな顔をして俺を見る。



「別に信じなくてもいいけど…その紙返せ」


「嫌よ、一応検討してみるわ…はいこの件終了」



うわ、無理やり打ち切りやがった。



どんだけ魔界に興味津津なんだよ…前まで話半分で信じなかったくせに。



「まあ魔界の大体の事は前話したじゃん?」


「大体は、ね」


「他に何が聞きたいんだよ」



俺は机に座って三人に聞いた。



「鉱物とか」「植物とか」「生物とか」


「お前ら落ち着けよ」



質問が矢継ぎ早過ぎてもはやなんて言ってるか分からない。



「とりあえず右から…リザリー」


「食用以外にどんな植物があるの?」


「魔界の植物は主に傷付けても直ぐに治るのが多い、樹液とか薬草とかは傷薬に最適だな」



あと…凄いスピードで追いかけて来たり、溶解液を出したりするのも多い。



「鉱物を合成させる植物とかはいないの?」


「合成?ああ、いるっちゃあいるな…」



複数の鉱物を溶解液で一旦溶かして混ぜ合わせて結合させる。って植物の存在を聞いた事はある。



見た事は無いからどんな形してるのか分からないけど。



イメージで言えば…この世界のハエトリ草に近いらしい。



そういや、他にも土に植えると鉱物が生る草木もあったな。



土の中の鉄分を固めて種の入った実と一緒に生るやつ。



実の9/10は鉱物で、カムフラージュを混ぜることで外敵から種を守るための進化だって。



「…植物学を根底から覆しそうな話ね」


「生る鉱物も土の成分によって様々だから…炭素が多いとダイヤの原石が生る場合もある」


「ええー、植物から…ダイヤ?」


「原石が生るのは火山地区辺りで、金銀も生るのかな?銀は見たことないけれど」



ダイヤや金が生っても魔界じゃ食べ物だし…魔物共はガリガリガリガリ牙や爪で削って食べてたな。



おかげで魔物共の牙や爪の硬い事…しかもすっげー鋭いし。



「そんなの持ち帰ったら金銀宝石の相場が値崩れを起こすな」


「まあ生きて持って帰れたら…な」



植物の育て方も分からない奴らだったら直ぐに枯らしそう。



「他にも色んな植物があるぜ?食獣、食虫から食用まで」


「もういいわ、鉱物系の植物の話が聞きたかっただけだから」



リザリーは、本当に存在するなんて思わなかったけど…と言って軽くため息を吐いた。



「じゃあ次はマキナだな…生物って例えば?」


「うーん…魔物以外の、ウサギや猫みたいなのも存在するの?」


「ソレも含めて、魔物だ」



この世界で言う動物の括りと一緒。



動物が魔物に変わっただけで…馬みたいな大人しい草食もいれば、ワニみたいな獰猛な肉食もいる。



人馴れした可愛い魔物もいるし、なんでも食べちゃう恐ろしい魔物とかも…ってか8割がソレだけど。



「ふーん…じゃあ魔族ってなに?」


「俺は人間の祖だと思う」


「人間の…祖?」



魔界はこの世界ができる遥か昔から存在するらしいし…



魔族が生き延びるために魔界からこの世界に来たのが人間と言う生物の始まり、って聞いた。



「ゲートを開けば魔界に行けるだろ?逆パターンで魔界から魔族が逃げてきたんだよ」



その際に何十体もの魔物も一緒に来たらしいけど。



魔術も元々は魔界の技術だし、この世界の魔物も元を辿れば祖先は魔界の生物だ。



神様が作ったとも言われてるけど、神様が作ったのはこの世界とこの世界の生物。



あと天使と神獣ぐらいか?



聖獣は……まあどうだろうな。



「うーん…なんか話が突飛すぎて頭が追いつかない…」


「確かに」


「人類は進化論じゃないのか?」


「猿から人間に進化したってやつ?アホか、神様が人間を作りました。と同じぐらい信じられるけぇ」



まだ人類は宇宙から連れて来られた、の方が説得力あるぜ。



人間が犬や猫を品種改良するように…人間もまた、なんかの生物を品種改良した結果なんじゃねえの?



地球と言うゲージに入れて観察中…みたいな。



時々来る宇宙船は経過を監視するためとか。

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