06
聞くだけなら、分厚くなりそうなやり方だろ?
だけど厚さは3mmぐらいしか変わらんぜ…そらよ。
んで、ソレをハメられた時の対処方として…コレ。
ん?ただのミサンガじゃねえよ、手錠の反対の術式をトレースしたミサンガだ。
魔術師に手錠でプラマイゼロだから魔術が発動できない…ならミサンガと手錠でプラマイゼロにしちまえ。って考えね。
それならこの手錠の意味が身体拘束だけになる。
魔術が使えるならこんなの楽勝で外せるだろ?
ただし、このミサンガ一個で無効化できるのは手錠一個分だ。
一応この手錠を二個ハメられても10秒ぐらいなら無効化できる。
そこで…マキナ、お前に注意する事があるんだよね。
この手錠さ、真ん中を壊して両手両足を自由にしても魔力束縛の効果は消えないからな?
…当たり前だろ、魔力と魔術を束縛するための術式だぞ?そう簡単に破られてたまるか。
…とまあこんな所かな。
「話を聞く限り、疑問が一つあるんだが」
俺が水を飲んでるとエルーが質問してきた。
「魔術を使えなくするんなら元素の反対の術式はいらなくないか?」
「ああ、ソレは正常な思考を奪うためだから…オマケ的なアレだよ」
「正常な思考を奪う…?……ああ、そう言う事か」
エルーだけではなくリザリーとマキナも感心したように頷く。
「思考を正常に働かせる事が出来なかったらこの手錠の打開策も生み出せないだろ?世の中悪知恵が働く奴も腐るほどいるからな…一応は保険的な感じ」
「魔術を使えなくして、更に打開策も考えさせない…一石二鳥ね」
まあ非人道一歩手前ではあるが…どうせ罪人にしか使われないんだし、大丈夫だろ。
考え的には、毒をもって毒を制す。みたいな感じ。
「一応コレは魔術を使えなくするって言っても擬似的なモンだからな…対抗策はいくらでもあるさ」
一先ず俺が考えつく分はカバーしたが、それでも完全とは言い切れない。
「擬似的…?あれ?って事は本物とかあるの?」
「コレ、魔力を断つ特殊な鉱石を頑張って加工した」
ネックレスとかについてるような接続型フックと似たようなフックをマキナ達に見せる。
「魔力を断つ…?そんな鉱物の存在は聞いた事無いわ」
「物は試しと言う事で…」
リザリーの手首にフックをハメた。
「…?特に何も無いけど?」
「魔力を練れなくなってると思うぜ」
「……………!?うそ…」
目を瞑って何かを試すようにしてたが、結果は何も起こらない。
「だろ?コレの原理は未だに解明できねぇんだよな…コレを手錠にしてハメられたら完全にアウト」
打開策も対抗策も解決策も何も無い、と俺は笑ってリザリーの手首からフックを外す。
「うそだー、程人君貸して……って本当だ!」
「マキナまで…?信じられんが俺も………ってマジだ」
マキナもエルーも胡散臭そうな顔をしてたが実際に体験して分かったようだ。
「一体その鉱物は何処で手に入れたの?」
「魔界の……どこだったかなー?」
魔界の地名が全然分からん、ってかあんな所に地名とかあんのか?
「「「魔界?」」」
三人共ハモるようにして聞き返してきた。
「あっれ、エルーには言ってなかったっけ?俺は修行目的で色んな世界に飛ばされたって」
「はあ!?あれってマジだったのか!?」
「ちょっとエルー?私は何も聞いてないんだけど?」
「ちょっと、私も何も聞いてないよ?」
エルーはリザリーとマキナに両肩を掴まれちょっとビクッとする。
「ねえ、どういう事?」
「私たちに隠し事をしてたの?」
その勢いで詰め寄られてタジタジになっていた。
…おおう、女子勢の力ってなんでこんなに強いんだろう。
「そうだ!て、テイトに直接聞けばいいだろ!」
お前まで俺に丸投げするんかい、俺の味方いねぇー。
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