05

「出来たかな?」



お姫様の帰国を見送ってから3日後。



俺は研究所の一角である物を作っていた。



「うーん…今日はマキナに協力してもらうか」



部屋から出てマキナを探す。



「いたいた、おーい」


「あれ?どうしたの?」


「ちょっと試作品をな…手ぇ出して」



?マークを浮かべそうな感じで首を傾げながらもマキナは両手をだした。



俺は手首に手錠をかけて締める。



「え…!なにこれ!ちょっと!」



手錠をかけた瞬間、マキナの表情が変わり焦り始めた。



「成功っぽいな」



手錠をかけられた事に焦ってるんじゃなくて、手錠をかけられた事によって生じた異変に焦っている。



マキナは雷属性の魔力持ち、だからこの手錠には元素の正反対の術式を書いた。



元素とは火、水、土、風、雷の五大元素だ。



もちろん書いた術式はそれだけでは無い、むしろ元素の術式はオマケと言っていいぐらいだからな。




「程人君…は、外して!早く!」


「はいよー」



鍵を使ってカチャカチャ、と手錠を外す。



「ふうー…ビックリしたぁ、研究は成功でいいのかな?」


「……微妙、もう少し煮詰めてみるよ」



まだまだ弱点や欠点は至る所にあるんだよなー。



ソコをなんとかしないと…しかも解析されないように色々と仕組まないといけないし。



「変な所で神経質だね」


「変な所じゃねぇよ、世の中には俺よりも天才の奴なんて腐るほどいるんだからな」



あらゆる角度から弱点、欠点を埋めないと…ソコを突かれたら一気に形勢逆転!なんてゴメンだ。



「もし万が一にでも俺らがコレに似たような物、もしくはコレを使われた時の対策も考えないと…」


「考え過ぎ、って言いたい所だけど…程人君らしい」



俺はやるからにはどんな最悪な展開になるかを予想して対策を練る。



その時にうろたえないために。



あらゆる可能性を検討してソレを上回る案を考えないと、今の世の中では生き残れない。



それから更に一週間後。



「邪魔するわよ」


「ん?おー」


「どう?アレから進展した?」


「ああ、完成?ってのかな…?一応はさっき終わった」



俺の研究…発明?が終わったのはつい二時間前の事になる。



「じゃあ報告会でも開きましょうか」


「んー…そだな、片付けが終わり次第会議室に行くわ」



30分で掃除までして研究室を綺麗さっぱり片付け会議室に向かった。



やはりいつもの三人しかおらず、雑談で盛り上がってる。



「ういー」


「あ、来た」


「アレが完成したんだって?」


「おー、今から説明してやろう」



と言うわけで、俺の研究だか発明だかよく分からない物の報告会が始まった。



えーと、コレがあの手錠を改良した物ね。



おっと…その前に盗聴云々は大丈夫?



…愚問だけどさ、一応確認ってぇの?



じゃあ心配事が一つ減ったからコレについて説明するか。



この手錠には魔術を習う者の基本中の基本である、魔力を増幅させる魔術の術式を反転して彫った。



鏡に映したような感じかな?



ああ…当然これは上級の術式を反転させたものだぜ。



効果は身をもって知ってるだろ?そう、この術式によって魔力を使えなくする効果が生まれるわけだ。



正確には術が発動しない、と言った方がいいな。



原理で言えば、正の術式と負…いや、誤の術式でプラマイゼロ。って言うアレ?



ゼロなら発動しないじゃん?



で、元素の反対の術式を彫る事によって魔力を不安定にさせる。



マキナとリザリーは体験しただろ?あの気分が悪くなるやつ。



アレによって更に魔術を発動できる確率が下がる、ってわけだ。



更にスリーシールドシステムとして…彫った上から着色で塗りつぶして、その上からジャミングの術式を書き、更にカバーしてから反対の元素の術式を書き込み、上から薄い金属片を貼り付けるやり方をした。

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