27

「姫様ちょこっと付き合ってもらいます?」


「?何をする気だ?」


「耳、塞いで」


「えっ?きゃあ!」



俺は王女に目隠しをしてお姫様抱っこして走りだした。



「ちょ…!なにを!?」


「姫様連れての刺客狩り?」


「え…?」



民家の隣の木に片手で器用に登り建物の屋上に向かってジャンプする。



「!?」


「いた…先ずは一匹」



刺客は近づく俺に気づいてボウガンを射つ。



俺は矢を避けて左手で姫様を支え右手の逆手で剣を抜いて刺客の首を斬り落とす。



刺客が地面に倒れるのを確認せずに次へと移った。



「二匹目」



俺の接近に気づかずに座り込んでボウガンの手入れをしている奴の頭を剣を抜いて上から下に突き刺す。



「三匹目」



一人目の近くで警戒してる奴の後ろに着地して振り向く前に首を刎ねた。



飛んできた矢の数は7、8本…最低でも後一人はいるな。



刺客を探し走りながら考える。



「いた」



外交庁にボウガンを向けて反対方向を向きタバコをふかしている男。



俺に気づき慌ててボウガンを構えるが時すでに遅し。



剣を抜かずに胸のある一点を爪先で蹴飛ばした。



ツボ押し…脚?裏六式昏倒急。



「これで最後だと思うが…まあこいつに聞けば分かるだろ」



こいつを殺さずに仕留めたのは情報を吐かせるため。



拷問、尋問なんでもござれ。のプロでも俺の前では口を割る。



なぜなら俺は人を限界ギリギリまで痛めつける事ができるから。



まあ実体験による所が大きいんだけど。



今までの人生で何千回と死にかけてるから。



ってか結局一回死んだし。



「んじゃ、戻りますか」


「おい、そいつをどうするつもりだ?」


「ある薬を投与しまくって廃人にした後に情報を吐かせる」



苦痛で精神を追い詰めて最後に壊すのが目的だから、麻薬ではない。



ありゃ快楽を与えるじゃん?だから海馬とか記憶を司る脳機能もぶっ壊れるし、それじゃ使い物にならん。



まあ生きたまま臓器とかを取り出す際には便利だけどな。



痛みを快楽に変換するから痛みによるショック死になる確率が低くなるし。



ケタケタ笑いながらイグー!イグー!とか動物みたいな変な鳴き声出すのは……なかなか気持ち悪いよ?



「…なにを考えている?」


「ん?あ、ちょっと昔を思い出しただけ」


「昔?」


「そ、昔」



男を肩に担ぎ民家の屋上からジャンプして地面に着地し外交庁に戻った。



「どこに行っていた」


「ああ?テメエには関係ねえだろ」



外交庁の入口で使者が腕を組み壁に背を預け高圧的に聞いてくる。



相変わらずイライラする野郎だな…腕の一本でも折れば立場を理解できるか?



「なんだそいつは」



俺が姫様を降ろすと肩に担いでる奴を顎で示した。



「テロリストだけど?残り三人はそこらへんで寝っ転がってるぜ」



ただし血溜まりの中で…だけどな。と言うと使者は眉間にシワを寄せる。



「テロリストだと?そんな話は聞いていない!…まさかその血溜まりも…?」


「ご名答、まあお持ち帰りされたけどな」



俺は肩に担いでいた刺客を地面に転がして服を剥ぎ取った。



「なにをしている?」


「まさか…ソッチの趣味が…?」



姫様が両手で口を覆い、信じられない…とニヤけている。



姫様も女の子だもんな…今時の女の子はソッチの趣味ぐらいあっても不思議じゃないか。



刺客をトランクス一丁にして剥ぎ取った服で両手両足を縛り、服を破って口と目の部分も縛る。



「…徹底してるな」


「暴れたり騒がれたりしたら困るし」



よいしょ、と男を肩に担いで車のドアを開けて中に入れた。



運転手はびっくりしていたが、何も見なかった事にしたらしい。



「んじゃ姫様、夜も遅いし…行きますか」


「うむ」



姫様に手を差し出してエスコートするように車に乗せる。



「ではまた明日」


「お休みなさいませ」



姫様が使者に挨拶してドアを閉め、俺も車に乗り込んでホテルに戻った。



ホテルで新しく一番安い部屋を借りて男をその部屋に放り投げ、放置。



当然縄抜け出来ないような縛り方だし、所持品は外交庁の前に置いてきた。



死体の方は警備員達が上手くやってくれるだろう。



使者が説明していれば。

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