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「嫌じゃないです!私にできる事があるなら…雑用でもなんでもします」
「そ?じゃあ目を瞑って手を伸ばしてくれる?」
「…!はいっ…!」
何かを察したのか顔を赤らめて覚悟したように目を閉じ手を伸ばす。
「んっ!///」
俺は女の子の手首を噛んでちょっと血を吸った。
うーむ、やっぱり血の味は微妙…ってか結構強めに噛んだのに傷跡がねぇ…魔物の回復力か。
そのまま女の子ごと別の場所に影移動した。
「よう」
「ああ、お帰りなさいませ」
三階建てのでっかい建物に入るとメイドがお出迎えしてくれる。
俺の能力で生き返った超美人女性でこの家に居る7人のメイドの内の一人。
「え!?ココどこ?」
「まあ!今回もまたなんとも可愛らしい!」
「全員呼んでくれる?説明するのをアレだからとりあえず血を入れ替える」
「かしこまりました。お嬢様、とりあえずはこちらに」
女の子の手を取ると応接間まで連れて行ってくれた。
俺は二階の奥、厳重な南京錠がいくつも掛けられた場所に移動。
そこに着く頃にはメイドが全員部屋の前に集まっている。
「お待ちしておりました、鍵は開いております」
「おう」
ドアを開けて中に入るといつも通り何も無い。
この家の何十とある部屋の中で唯一何も無い部屋だ。
ただし、物凄い技術が込められている。
絶対に、どんな方法を用いてもドアを閉めたこの部屋の中を知る事はできない。
魔術、魔法、盗聴器、小型無線カメラ…何を持ってしても無理。
中に入った時点で機械は壊れ、魔術は強制解除されて術者に反動ダメージがいく。
それほど徹底された秘密の部屋。
とは言え中は文字通り何も無いんだけど。
人の住む前の空き部屋みたいな感じ。
「んじゃ、やりますか…ってしくったぜ!今は影移動の能力行使中だ…血を操ったら日の光が……まあ少しぐらいならいいか」
メイドからナイフを受け取って自分の指を切って血を一滴舐める。
「んじゃま、いくぜ」
メイド7人の首に血で出来た針を突き刺す。
「あ、まだあと三年は大丈夫そうだな」
メイド達の血の状態を感じる限りでは全然劣化してない。
「そうですか…でも貴方は常に色々とありますね」
「…まあな」
俺自身の血を打ち込む事で今までの記憶や経験、知識をこのメイド達に送る。
つまりはメイド達は俺の今までの人生を共有しているっつー事だ。
血はDNAの塊、遺伝子情報を送る事によって以心伝心のワクを超える連携を発揮するのが狙い。
俺とメイド達の違いは性別と性格ぐらいかな?
でも逆にメイド達の記憶は俺に送れない。
だって面倒だし…他人の人生なんてどうでもいい。
あ、送れないじゃなくて送らない、か。
まあさて置き…コレでメイド達は女の子の素姓も俺のやりたい事も分かったはず。
ちなみにこのメイド達…見た目は超絶美形で、か弱そうなのに超強い。
なんせ俺の戦闘経験を全てインストールされてるから。
経験から勘から感覚から先読みから動きから…全て俺と同じ。
いや、俺より頭が良い分もっと強いかも…
まあ流石に一対一は負けないけど、一対二は微妙。
三人目からは絶対無理!どうやっても無理!本気で全力を出してもイケて二人まで。
やっぱり自分自身だからねえ?それが七人とか…
最強のセ○ムと言っても過言では無い。
なんせ今回のインストールで魔札も使えるようになってるんだぜ?
とりあえず、ココに預けとけば大丈夫だろ。
魔物の能力の方も使い方を教えてあげれるし、戦闘指南、家事、一般常識、教養まで…なんでもござれ。
みんな元上流階級の正真正銘のお嬢様達だし。
…死ぬまでは、だけど。
「これまでの報告を聞きます?」
「ん?ああ、頼む」
ココには全員で11名のワケありが居る。
女の子のように拾ってきた?のがほとんど…って言うか全て。
男2女9…今回で10になるか。
当然見た目重視だから容姿レベルはかなり高め。
「…以上ですが、どうします?」
「へぇ…ま、いいんじゃない?好きにさせておけば」
居候…ってか息子の一人が町の不良を一掃したい、とか言い出したらしい。
それ以外はいつも通りだった。
「そろそろ戻らないと…リザリー達が騒ぎそうだ」
「分かりました。行ってらっしゃいませ」
「あの子の戸籍、住民票、学校への転入手続きはお任せ下さい」
「ん、いつも感謝してるぜ、それじゃまた来るわ…後は任せたぞ」
ほんと尻ぬぐいしてくれる存在がいてくれるのって助かるわー。
昔の俺の先読みは当たってる、なんせ今すごい楽だから。
俺は研究所のトイレに影移動するとそこから一時間、便座に座って時間を潰した。
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