14
「さて、待たせたか?」
「…そうでも…ない…」
「じゃあヤるか」
「…来い…」
「じゃあお言葉に甘えて今度は俺から攻めるか」
俺は地面を蹴って奴へと向かう。
が、勢い余って少し行き過ぎてしまった。
途中で剣を振るったが、やはり行き過ぎたからか掠った程度にしかならなかった。
「…!」
「ありゃ?行き過ぎた…今度こそ」
もう一度地面を蹴って剣を振るう。
今度は奴が微かに動き、少しだけガードされあまりダメージを与えられなかった。
「…はや…い…」
「うりゃうりゃうりゃうりゃー」
俺は畳み掛けるようにどんどん攻撃した。
奴はガードするも受けきれずに後ろに吹っ飛ぶ。
さらに追撃するように追いかけて剣を振り下ろした。
「がっ…!」
奴は地面に叩きつけられ、地面が割れて地面に小さいクレーターが出来た。
俺は一旦距離を開けて様子を見る。
「うーん…一年ぶり?ぐらいだから細かい動きがイマイチだな」
力を持て余しているおかげで行動に少なからず無駄がでるなー。
まああと少しで慣れると思うけど。
俺は腕をぐるんぐるん回しながら奴が立ち上がるのを待った。
砂煙が晴れる頃、ようやく奴は立ち上がる。
「どうした?本気を出すには俺の力が足りないか?」
奴は全然本気を出していなかった。
俺がその事に気づいたのはさっきの攻撃をガードされた時。
さっきまでは本気の4割から5割ぐらいの力だったんだろう。
本当に人間か?あいつ。
人間の時の力で手も足も出なかったのがまだ50%とか…実はあいつも魔物じゃねえ?
「~…~~…」
多分何かしら言ってるんだろうが残念ながら俺には聞き取れなかった。
50mは離れてるんだから聞き取れないのも仕方ないよね。
とりあえず奴は動きそうにないのでもう一度俺から攻める事に。
距離にして50m…人間の時なら約4秒ぐらいだったか…今だと多分一秒かかるかかからないかぐらいだろう。
俺は一瞬で奴との距離を詰めて剣を振り下ろす。
今度は奴もガードした。
だが奴の足下の地面が割れる。
おいおい…どんな力だから地面が割れてもなお剣を受け止められんだよ。
「…足りない…」
「そうか…よ!」
俺は剣を受け止められてる状態から奴の横っ腹に左足で回し蹴りを食らわそうとした。
「…足りない…」
蹴った足を掴まれたはしたが奴はかなり後ろに後ずさる。
…ついでに俺も少し前のめる。
左足を掴まれた俺は地面に剣を刺し、素早く体をひねって右足の踵で奴の側頭部を狙った。
「…ぐ…!」
奴は腕でガードしたが手応えはアリだ。
掴んでいた足を離してよろめく。
「チャーンス」
俺は地面に刺した剣を取りひたすら奴を蹴り続けた。
「が…!か…!こ…の…!」
奴はガードする暇もなく蹴られ続けてる。
「ラスト」
「かは…!!」
渾身の後ろ回し蹴りが奴の腹にクリーンヒットし、奴は盛大に吹っ飛んだ。
「おー、飛んだ飛んだ」
にしても頑丈な奴だな。
今の俺は人間の時の10倍の力はあるはず。
普通の一般人なら殴られれば貫通するし、蹴られたら真っ二つだぜ?
もはや奴は人間じゃねえな。
…俺もだけど。
吹っ飛んだ奴は今や空き家となってる家に激突して家が崩れる。
「…!な、んだ?」
家が崩れると同時に俺の背筋に一瞬ゾクッときた。
この感じ…今までの経験からすると、圧倒的な力が近づいている気配。
避けられようのない死の気配。
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