12
エルーから受け取った剣を手に奴との戦いに挑んだ?俺だったが、やはり剣があっても実力の差は大して縮まらなかった。
防御もだめ。
(ガードごと吹っ飛ばされる)
受け流すのもだめ。
(スキをつくれない)
攻撃もだめ。
(押し返されてスキができる)
結局、剣を手にしても逃げ回るだけ。
でも剣のおかげでダメージを受けなくなった。
ひたすら避けて避けて避けるだけの戦い。
…戦いにしてはかなり一方的だけど今の俺にできる精一杯の事だ。
受け流す事は出来なくても攻撃の軌道は変えられる。
軌道を少しだけズラし、避ける事でなんとかダメージは受けないが完全なる防戦一方。
反撃すら許されない。
反撃しようものならすぐさま攻撃のスキを突かれてout…だ。
しかも奴の動きのキレがどんどん増しているような気がする。
あと少しで多分俺は負ける。
負けはそのまま死を意味する。
多分まだ5分しか経ってないだろうが…奴の動きについていけなくなった。
またダメージが少しずつ蓄積してきた。
そして俺と奴が戦い始めて15分ぐらいか…
ついに俺の傷が治らなくなった。
もはや俺の負けは誰の目から見ても明らかだ。
だが奴の攻撃は止まらない。
俺はまた死ぬだろう。
今度こそ。
もう今の俺は前ほど生きる事に執着などしていない。
そのまま冥界へ…あの世に。
奴の攻撃は俺の持ってた剣を体ごと弾き飛ばす。
…俺は倒れた状態から素早く体を起こした。
だが目の前には奴が。
手には何も無い。
次の奴の攻撃でこの戦いは終わる。
奴の剣が俺に振り下ろされる。
これで…全てが終わった。
…いや、終わるはずだった。
だが俺は生きてる。
目の前に立つ友達、エルーシャ・サナンカのおかげで。
エルーは奴の剣が振り下ろされる瞬間に俺と奴の間に割り込んで来た。
多分俺が弾き飛ばされた時には行動してたんだろう。
今エルーや奴がいる軍では仲間割れ…仲間内の戦闘はご法度である。
俺の頼りない記憶が正しければ、だけど。
だから奴は振り下ろした剣がエルーに当たる前に、無理矢理体ごとひねって軌道変更させたんだと思う。
そうじゃなければエルーごと俺を斬ってただろうな。
奴に仲間意識があるとは思えないし。
「…なぜ…邪魔をした…」
「友達を助けるためだ」
「…俺が避けなければ…死んでいたぞ…?」
確かに、あの攻撃は当たれば確実に死んでいただろうな。
「命が惜しくて友達を助けれるか」
かっこいい!かっこいいセリフだけど…近くで聞いてる俺はなんだか恥ずかしい…
「…そうか…」
「お前はなぜテイトを殺そうとした?」
「…俺の中のナニカを…取り戻すためだ…」
「すでに勝負は着いていただろ。殺す必要はないはずだ!」
エルーはいつの間に拾ってたのかさっきまで俺が持っていた剣を持っていた。
「…分からないのか…?」
「なにがだ?」
「…不思議だとは…思わないのか?…こいつは一度死んだ…そして魔物になった…だろ…?」
「そうだな、さっきはそう聞いた」
「…なら…力は…?」
マズイ!これはマズイ話の流れだ!
くそっ!どうする!?
「…魔物並の生命力…魔物並の回復力…なのに身体能力は人並み…おかしいと…思わないのか…?」
「…確かにおかしいではあるな。だがそれとコレとは話が違うだろう」
「…殺せば…いや、死ぬ間際になれば…力を発揮すると思った…別にダメでも…ダメなら殺してもう一回…冥妖の門を開かせば…相応の力を手にいれる…と思った…」
「だから殺そうとしたのか…なぜそこまでする必要があるんだ?」
「…理由などない…ただそうするべきだと…思ったからだ…」
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