3 夏帆と嫉妬
結局、ヨッシーはジュースを買ってきてくれた。っていうか、買って来させられた。だけど、ヨッシーは優しい子だよ。わざわざ私の分まで買ってくるなんて。夏帆にはもったいなさすぎる、絶対。他にも可愛い子いっぱいいるんだから、そっち狙った方がいいと思うんだけどな。
「サンキュ。私、
人が買ってきた清涼飲料をがぶ飲みする、こいつは何者なんだ。
小石を蹴りながら進む小学生の様な、どうしようもない存在。熱気を吐き出すショートカット。邪悪の体現者。夏が暑いのと緑が青くないはこいつのせいか。
それに比べると、やっぱりヨッシーとは月とスッポンだ。
「あ、私は
「いえ、全然大丈夫です!」
近くにいると確かに芳しい香りがする。清潔な短髪、大きい瞳、完全に女子受けするベビーフェイス。制服との相性までしっかりと見れば、やっぱり夏帆なんかと釣り合う相手じゃないのに、こいつときたら。
「ねー、どうしよ。バス乗る金すらねーや」
「あ、僕出しましょうか」
「いい、いい! そんなにこいつ甘やかしたら駄目だよヨッシー」
「あのさー、ヨッシーは私の事が好きなわけ。なんで部外者の沙合が出てくるわけ!?」
「あんたがヨッシー虐めないか見ててあげてるの!」
「ま、まあまあ」
「携帯番号くらい教えてやるよ」
夏帆がスマホで情報交換を始めた。私は終始無言で椅子席を取り、夏帆の帰りを待った。
「はーもう、めんどくさいなぁ」
夏帆、言っちゃいけない言葉を言ったな。
何なんだよ本当に!なんで夏帆は昔っからモテるんだよ!
中学の時私が好きだったM君も、同じ部活だったにもかかわらず夏帆に告ったS君も!みーんな、みんな!みんな夏帆を好きになる。
なんなの!?優等生キャラとギャルキャラ掛け持ちって何!?
あーもう、こんなやつ嫌い!
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