第2話

目が覚めると、白濁色の天井だった。

意識が戻った俺は担当医から診察を受けた。

「えっと 千草茜君だね?」

「はい。それで先生この怪我は・・・」

「左肘の脱臼骨折。脱臼の方は、はめれば

大丈夫だけど

骨折の方は固定器具を入れるため手術が必要だね。」

脱臼と骨折がセットって全然ハッピーじゃない。

「はぁ そうですか。どのくらいで治りますか?」

「そうだね。手術してもらうから、2週間くらい入院してもらって、リハビリ次第だけど

完治は大体3ヶ月ぐらいだろうね。」

「なん・・だと!?」

あれれ?おっかしいぞー?

入院してるだけで春休みがほとんど終わる気がするんだが、気のせいかな?気のせいじゃない。

卒業生は在校生に比べ一週間休みが長い。

とはいえ、春休みは3週間から1ヶ月で

それに高校の合否発表を明日に控えており、

高校の準備やらなんやらで忙しい。


「そういえばお母さんとは連絡取れているのかな?」

事故があったのにも関わらず携帯は奇跡的に壊れてはいなかったため、連絡は取れた。

携帯の方が俺より防御力高いってどういうことだよ。

「ああ、今向かっているって言ってました。もうすぐ来ると思います。」

「それじゃあ、先に病室を案内しとこうか」

「分かりました」

そう言って俺は先生の後について行った。





母親に着替えやら本やらゲームを持って来て

貰い、俺はゴロゴロしていた。

よくよく考えると春休み中と生活が

なんら変わりないのでは?と思っていた。

これはもう日常的に入院していたと言っても

過言じゃない。・・・いや、過言だな。

ていうか、左腕使えないのにvita持ってくるなよ、出来ないじゃねーか。

息子的にはそこは気を遣って貰いたかった。


母親が病室に来てから、先生も合流し

手術の日取りを教えてもらった。

一週間後の午後3時。

とりあえず肘に固定器具を入れるそうだ。

人生初の手術だ。担当医の話を聞いてる時は何食わぬ顔をしていたがぶっちゃけ怖い。

超怖い。

普段建設用の道具が自分の体の中に埋め込まれるんだ。怖く無いわけがない。

手術日には母親は仕事で来れないとの事だ。息子の手術ぐらい付き添ってくれてもいいじゃないかよ。

ただ、まあ事故を起こしたのも自分のせい。

甘んじて受け入れる他ない。

一抹の不安を感じるが気にしてもしょうがない。先生が仕事に戻り、病室も静かになった。読書にも飽き、暇を持て余した俺はベッドで微睡んだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る