星空エクスプレス

凍堂暖華

序章


―――クリスマスには思いを乗せた列車が走る―――


そんなことを言いだしたのは誰だったのだろう。

どこかの小説のキャッチフレーズなのか。

都市伝説の一つなのか。

いや、無邪気な子供の創造の産物だったのだろうか?


でも、私には関係ない。私の思いは遠い夜空に消えたのだから。

目をつぶれば思い出す。あの人の声、あの人の笑顔、そしてあの人の最期。


一年前のクリスマス、私はすべてを失った。

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