随筆十二:人は何の為に生きてるの?

七夏「えっと・・・」

心桜「ん? どしたの? つっちゃー?」

笹夜「七夏ちゃん、悩み事かしら?」

七夏「その・・・これなのですけど」

心桜「あ! お手紙!?」

笹夜「なんて書いてあったのかしら?」

心桜「ちょっと、見せて!」

七夏「はい」

心桜「えー、なになに・・・『ペンネーム、リンスーハットさん』 つっちゃーもしかしてリンスーハットが分からないとか?」

七夏「え!? それは、お名前ですよね」

心桜「そうだけど、ここが引っかかってるわけでは無いって事か」

笹夜「シャンプーハットならありますよね?」

心桜「あー、居るねーそういう人が!」

笹夜「人!?」

心桜「え!?」

笹夜「お家にもあったような・・・まだあるかしら?」

心桜「お家!?」

七夏「ここちゃー、頭を洗う時の・・・」

心桜「! あーそっちかー! んで、リンスーハットは、シャンプーに非対応だから、頭を洗う時は、シャンプーハットからリンスーハットに被り直さないと! 面倒だね!」

笹夜「そうかしら?」

心桜「流石、髪のお手入れを面倒がらない! 笹夜先輩!」

笹夜「そうではなくて、私はシャンプーハットを使う必要はありませんでしたので」

心桜「え!? んじゃ、なんでお家にあるんですか?」

笹夜「どおしてかしら?」

心桜「相変わらず、謎が多いねー。でも、あたしも何でこれがあるんだろ? って思う時あるからね。その時はいいなって思って買ったんだろうけどね」

七夏「ここちゃー、買う前によく考えないと」

心桜「あはは! そだね! で、ちょっと脱線したけど、お手紙の続き、読むね!『こんにちは! 人って何の為に生きていると思いますか?』・・・え!? これだけ?」

七夏「人は何の為に生きているのか・・・難しいです」

心桜「え!? 別に難しくないよ?」

笹夜「まあ! 心桜さん! 頼もしいです♪」

心桜「難しく考えるから、難しくなってくるんだよ」

笹夜「では、人は何の為に生きてるのかしら?」

心桜「死ぬのが怖いから!」

七夏&笹夜「・・・・・」

心桜「ん? 何? この間!?」

七夏「た、確かにそうかも知れません」

笹夜「こ、心桜さんらしいですけど」

心桜「違ってる?」

七夏「いえ、そんな事は・・・」

笹夜「でも、人は何の為に生きているのか・・・こんな事を考えれるのは、高度な考え方だと思います」

心桜「え? 高度な考え方?」

笹夜「ええ。他の生き物は、何の為に生きているのかなんて、考えていない可能性の方が高いです。ですので深い心を持った人間らしい考え方です」

七夏「なるほど」

笹夜「何の為に生きているのかを考えるときは、心が傷ついていたり、生きる価値を見出せない時が多いようですね」

心桜「だったら、何の為に生きるのか、その答えを見つける為に行き続けなくちゃね!」

笹夜「まあ!」

七夏「ここちゃー! 凄いです☆」

笹夜「そうですね♪ 素敵な考え方です!」

心桜「いやいや、だから、そんなに難しく考える必要ないんだってば!!」

七夏「くすっ☆」

笹夜「人は未来の事を考えられますから」

心桜「未来ですか?」

笹夜「はい。他の生き物と違うところです♪」

心桜「どういう事ですか?」

笹夜「例えば、動物の作る道具。この道具は、目的を果たすと、殆ど再利用はされません。でも、人は先の事を考えて、作った道具を手元に残します」

心桜「なるほど・・・後先の事を考えて・・・ん? じゃあ、蟻もそうならない?」

笹夜「え?」

心桜「だってさ、後の事を考えて、食料蓄えてるよね! 割とキリギリスでもそういうお話なかった?」

七夏「ここちゃー『蟻さん』」

心桜「マークの・・・じゃなくて『アリトキリギリス』」

笹夜「それは、後先の事を考えているのではなく、本能らしいです」

心桜「え? 本能!?」

笹夜「教わらなくても、生まれつき持っている性質の事かしら?」

心桜「それは分かるんですけど・・・あれ、本能なんですか?」

笹夜「蟻の行動を見て、人が後先の事を考えていると勝手に解釈しているだけです」

心桜「思い込みってやつですか?」

笹夜「はい。そうなりますね」

心桜「なんで先の事を考えないんだろうね?」

笹夜「なんでって言われても・・・でも、それがバランスを保っていると言えます」

心桜「バランス?」

笹夜「ええ。例えば、肉食動物のライオンは、おなかがいっぱいの時は獲物を襲いません。もし、ライオンが未来の事を考えれたとすると・・・」

心桜「乱獲になる」

笹夜「はい。未来を考えるという事は、欲張りになるとも言えます。他にも、リスが木の実を地面に埋めたりするのも本能的な行動かしら?」

心桜「なるほどねー」

笹夜「本能ではなく、先の事を考えて自分の身を守る事は、人の心の特徴なのです」

七夏「自分の身・・・ですか?」

笹夜「先の事を考えて色々と心配をする事・・・心配性がその代表かしら?」

心桜「ああー・・・」

七夏「どしたの? ここちゃー」

心桜「あたし、苦手だ。心配性過ぎるヤツ!」

笹夜「どおしてかしら?」

心桜「だってさ、あれって周りに多大なストレスを与えてるよね」

笹夜「確かに、その傾向はあるかも知れません」

心桜「そんなに心配なら、全部自分でなんとかしろ!」

笹夜「心配事の内容によりますけど」

心桜「例えばさ、出掛けた後に『鍵かけたっけ?』って思った事ない?」

七夏「あります」

心桜「そんな時、あたしは心配するくらいなら、戻ってもう一度確認する!」

七夏「戻っている時間が無い時は?」

心桜「その時は、鍵と予定との優先度を考えて、どっちにするか決める! 鍵が開いてたとしても、よほどの事が無い限りなんともないよ」

七夏「・・・だといいのですけど」

心桜「ま、なんかあった時は自己責任だけど」

笹夜「まあ、そうならないように、出掛ける前にしっかりと確認したいですね♪」

心桜「だねっ! んで、確認する為に家に戻ると、大抵鍵閉まってるんだよね!」

七夏「鍵を閉めた後に、指差し確認するといいかもです☆」

心桜「指差し確認!?」

七夏「はい☆ お父さん、よく指差し確認してます☆」

心桜「なるほど! 流石車掌さん!『鍵よーし!』今度からやってみよっと!」

七夏「くすっ☆」

心桜「んで、『人は何の為に生きているか?』なんですけど」

笹夜「既に結論は出ています♪」

七夏「え!?」

笹夜「自分の未来の為です♪ 心桜さんも、そう話されてます♪」

心桜「あたしは『死ぬのが怖いから!』って言っただけだよ!」

笹夜「同じ事です♪」

心桜「言い方ってヤツか・・・」

七夏「くすっ☆」

笹夜「大きな失敗をしてしまったりした時に『何の為に生きているの?』と、考えてしまう事もありますね」

心桜「ま、失敗の無い人生こそ失敗だと思うから、あんまり気にしない方がいいよ」

七夏「はい☆」

心桜「でもさ、今回のお手紙、一言だけさらっと書いてくる。そんなドライな所、妙に好感が持てるよ!」

笹夜「心桜さんは、とてもさっぱりとお考えですね♪」

心桜「今を楽しく生きる事! それでいいよねっ!」

七夏「えっと、リンスーハットさん☆ ここちゃーみたいに楽しくなる事を、沢山考えてみてくださいね☆ お便り、ありがとうございました☆」

心桜「つっちゃー、急にたたみかけたねー」

七夏「そうかな?」

笹夜「七夏ちゃんも、しっかりしている所がありますから♪」

心桜「確かに、今回だらだらと話してるだけって、随筆だから別にいいって事だよね!?」

七夏「くすっ☆」


随筆十二 完


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随筆十二をお読みくださり、ありがとうございました!

本編の方も鋭意制作中ですので、どうぞよろしくお願い申しあげます!


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