随筆九:鬼は外!福は内!って言うけどさぁ
心桜「つっちゃー! こんちはっ!」
七夏「ここちゃー☆ いらっしゃいです☆」
心桜「ん? それはっ! 大豆?」
七夏「はい☆ 福豆です☆ もうすぐ節分ですので☆」
心桜「節分かぁ・・・」
七夏「どしたの?」
心桜「豆まきで『鬼は外!福は内!』ってあるよね?」
七夏「はい☆」
心桜「あれさ・・・結構残酷だと思って」
七夏「えっと・・・」
笹夜「こんにちは♪」
七夏「笹夜先輩! こんにちはです☆」
心桜「こんちわー! 笹夜先輩っ!」
笹夜「こんにちは♪ 七夏ちゃん、心桜さん。すみません、この前は、せっかく誘ってくださったのに・・・でも、凄かったらしいですね?」
心桜「あー、ラーメンの件ね」
笹夜「ええ」
心桜「んー、実はさぁ・・・あの話には続きがあって---」
七夏「・・・えっと、私なら大丈夫です☆」
笹夜「???」
心桜「あれさぁー。ドッキリだったんだよねー」
笹夜「まあ!」
心桜「お店を出た後、知らない人に呼び止められてさ・・・おかしいなとは思ったんだけど」
七夏「・・・・・」
笹夜「そうだったの・・・」
心桜「地元のイベントで使わせてほしいって言われたんだけど、つっちゃーの事があるから断った」
笹夜「七夏ちゃん?」
七夏「・・・・・」
心桜「(笹夜先輩、つっちゃーは、あまりドッキリに良い思い出が無いから)」
笹夜「(なるほど。ありがとう。心桜さん♪)」
七夏「???」
笹夜「七夏ちゃん! それは福豆かしら?」
七夏「え!? はい☆ もうすぐ節分です☆」
笹夜「なるほど♪」
心桜「そうそう、節分! 笹夜先輩! 豆まきって残酷だなーって思いませんか?」
笹夜「え!? 確かに、大豆が勿体無いですよね♪」
心桜「え!? あ、大豆? た、確かに!」
笹夜「あ、すみません。『鬼は外、福は内』の事かしら?」
心桜「そうそう! それです! 昔、弟と一緒になって、鬼のお面を付けたお父さんに向かって思いっきり豆を投げつけてたんだけど、その後さ、弟がふざけてお母さんにまで豆を投げつけ始めて、あたしはそれを見てイラッときて弟に豆を投げつけたら、弟が反撃してきて喧嘩になった。弟が思いっきり投げてくる豆が顔に当たると結構痛いんだよ。それで、お父さんに悪い事したなーって」
笹夜「まあ、そんな事が・・・」
七夏「ゆーちゃん、そんな子には見えないですけど」
心桜「だからさ、それは猫かぶりだって! そだ! 節分の日につっちゃーがあたしん家に居てくれれば平和だよ!」
七夏「くすっ☆ 節分の豆まきは控えて、恵方巻きを頂くといいかもです☆」
心桜「それなんだけどさぁ・・・恵方巻きを食べてる時に、あたしを何とか喋らそうとして弟がくすぐって来て、喧嘩になった」
笹夜「まあ!」
七夏「ゆーちゃん、そんな子には見えないで---」
心桜「だからさ! それは猫かぶりなんだってば!」
七夏「ひゃっ☆」
心桜「節分なんだからさ、文字通り『節度を分けろ!』って言いたいよねっ!」
笹夜「少し違うような気がしますけど、まあ確かに言えてるかしら?」
心桜「鬼は外!福は内! 鬼を外に追い出して、福は家に呼び入れる・・・これって残酷だよね」
七夏「ここちゃー『福は家』ではなくて『福は内』です☆」
心桜「なんで、『家』だって分かんのよっ!」
七夏「えっと・・・なんとなく」
心桜「まあ、いいや。で、あたし思うんだけど、優しい鬼って居ないのかな?」
笹夜「私は居ると思います♪」
七夏「私も笹夜先輩と同じです☆」
心桜「ほほうー、そう言うからには何か根拠があるはずだよねっ!」
笹夜「はい♪」
七夏「え!? えっと・・・」
笹夜「(七夏ちゃん! ○○○○○○)」
七夏「(あっ! なるほど☆)
心桜「何ひそひそ話してんの!? その根拠とは!?」
笹夜「鬼の目にも涙・・・かしら?」
七夏「ことわざにあります☆」
心桜「うわぁ! それがあったかぁ~!」
七夏「くすっ☆」
笹夜「でも、鬼とは必ずしも悪い事ばかりではないです♪」
心桜「例えば?」
笹夜「そうですね・・・仕事の鬼とか?」
心桜「あー、職人ってヤツだねー」
笹夜「他には、文学の鬼・・・」
心桜「それ、つっちゃーかも!?」
七夏「え!? そんな・・・」
笹夜「心桜さん! 仕事の鬼や文学の鬼は、非情なまでに行うという意味を持ってますので、七夏ちゃんはあてはまりません」
心桜「じゃ、つっちゃーは小説の鬼・・・だね!?」
笹夜「ええっと・・・優しさがあるから大丈夫です♪」
心桜「笹夜先輩、一瞬、躊躇わなかった!?」
笹夜「すみません・・・」
七夏「もう! ここちゃー! 笹夜先輩を困らせてはダメです!」
心桜「はい! すみません!」
七夏「くすっ☆」
心桜「そう言えば、凄い事の例えに『鬼』が使われてたりするよね?」
笹夜「凄い事?」
心桜「鬼武者とか」
笹夜「確かに!」
心桜「他にも何かの広告で『鬼!買い取り!』って見たんだけど、どこで鬼を調達してくるかが問題だよね~」
七夏「ここちゃー!!」
心桜「あははっ!!! でも、心の中の鬼を買い取ってくれるのなら・・・一石二鳥じゃない?」
七夏「えっと・・・」
笹夜「え!? 七夏ちゃん!? そ、そうですね・・・確かに心の中の鬼を買い取ってくださればと思う事もありますけど、それも含めて自分なのです。鬼はとても強いですので大きな決断を迫られた時に、その力を発揮してもらえると思います!」
心桜「なるほどね~。やっぱ笹夜先輩には適わないか・・・」
七夏「笹夜先輩! ありがとうございます☆」
心桜「んじゃ、他にも『鬼嫁』はどうです!?」
笹夜「え!? ええっと・・・」
七夏「え!? 笹夜先輩!? えっと・・・あっ! 鬼族の優しいお嫁さん!」
心桜「苦し紛れだけど・・・それもあり・・・か」
笹夜「七夏ちゃん。すみません」
七夏「いえいえ。ここちゃーの攻めが鬼怖いです☆」
心桜「え!? あたしが鬼って事!?」
笹夜「まあ、とにかく『恐い鬼は外!優しい鬼は内!』って事でどうかしら?」
心桜「笹夜先輩・・・節分ならぬ鬼分ですか!?」
笹夜「ええ♪」
心桜「んじゃ、福は!?」
笹夜「福は内でも外でも♪」
心桜「ん!? どういう事ですか?」
七夏「福は、自分にもみんなにもって事かな?」
心桜「なるほど・・・参りました。でも、本当の鬼・・・実は、鬼以外の人の方かも知れないよ!?」
七夏「え!?」
心桜「鬼ごっこで『鬼さんこちら!手の鳴る方へ!』って言う人間っ!!!」
笹夜「それは、お遊びの事ですから・・・でも、遊びの域を超えてはなりませんね」
心桜「そだね! ・・・って事で、鬼さんに対して、もう少し優しくなりたいと思うあたしたちでした! 鬼のお面を付けた優しいお父さんには特にっ!」
七夏「くすっ☆ 今日は巻きのお寿司にしようかなぁ☆」
随筆九 完
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随筆九をお読みくださり、ありがとうございました!
本編の方も鋭意制作中ですので、どうぞよろしくお願い申しあげます!
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