前のエピソード――１１章　反省

　転帝は、地球連邦の重要都市の一つのパリへの進撃を開始していた。ここを一督戦隊が防衛していると聞きつけ、再戦を図ったのである。

「一督戦隊！どこだ～！？出てこい！！！」

　転帝は四方八方に攻撃を開始した。

「やめろ～～！！！」

　一が姿を現した。他の隊員も後に続く。

「ようやく表れたか。ここにいると聞きつけてここまでやってきたのだぞ。」

「それはそれは。僕も君にリベンジしたいと思っていた所だ。」

　転帝と一督戦隊の激しい再戦が開始された。一は一気に第４形態になった。

「今回は一気に第四形態でいくぞぉ～！！」

「ほう…その形態を使いこなせるようになったか！」

　一は転帝に殴りかかろうとした。しかし、転帝にその腕を横から掴まれて止められてしまう。

「強くなったのが自分だけだと思うなよ！」

　転帝は横から一の腹にパンチした。

「ぐはぁ！………ふふふ！この程度で！」

　一は転帝にエネルギー波を放った。しかし、転帝はびくともしない。だが一はその隙に転帝の上部に回りエネルギー光線を放った。

「こんなもの！！」

　転帝はエネルギー光線で押され、地面スレスレまで押し込まれた。

「こおおおおおおお！！！」

「はあああああああああああああああ！！！！」

　一はエネルギー光線に一極集中させたエネルギー波を被せてはなった。転帝は一極集中されたエネルギーに押され地面までめり込んでいった。転帝は、そのまま地球の中心まで押されていった。

「うおおおおおおおおお！！！！」

　転帝はエネルギーに押され、マグマの中に突っ込んでいった。

「はぁ…はぁ…はぁ…勝った！」

「やったな！隊長！」

「勝ったわ！！」

「ばんざーい！！！」

「あっ！！！」

　一督戦隊が喜んだのもつかの間、地面の底に転帝が立っていた。

「はぁ…はぁ…はぁ…。」

「そんな……！」

「はぁ…はぁ…バリアーを張ったのさ…。マグマ程の熱さでも耐えられるバリアーをな。」

　そう言うと転帝はエネルギー光線を放った。一督戦隊は吹きとばされた。しかし、は一はすかさず、転帝の方へ向かって行く。

「覚悟しやがれえええええ！！！！」

　一は両手足で転帝に蹴り殴りかかった。しかし、転帝はそれを全てかわしたりガードしたりしてしまう。

「バカな！？」

「どうした？！僕はまだ９５％ほどしかパワーを出していないぞ？そして、今回は１００％のマックスパワーにも耐えられるように訓練してきた。どうやら勝敗が見えたようだな。」

「くそう…！くそおおおおおおおおおおお！！！！」

　一はさらにがむしゃらにパンチとキックを繰り出した。

「空円斬！！」

「ふん！こんなもの！」

　転帝は一の攻撃をかわし空円斬をガードした。それと同時に剛が攻撃をするのであった。

「炎雷弾！！！」

「こんなもの！

…があああああああ！？」

　転帝は再びガードするが、防ぎきれず大ダメージを受けてしまう。

「くそおおおおお！！！この男にこんなパワーが出せるなんて聞いていないぞ！この男はこの短期間で突然ここまでパワーアップしたと言うのか！？」

「違うな。剛は確かに以前よりパワーアップした。だが今の一撃はそれだけじゃない。力の珠によるものだ。」

「バカな！？力の珠一つでここまでパワーを上げられると言うのか！？」

「一つじゃない。三つだ。彼には僕たちが持っている力の珠を全て渡した。」

「なんだと！？ではお前は力の珠無しで僕と渡り合っていたと言うのか？力の珠に頼っていなかったのか？！」

「もうそうまでしなくてもいいほどに強くなったという事だよ。僕が力の珠と第四形態の併用で挑んでも良かったんだが、それだと力勝負になってしまい確実性に欠ける…。だから、剛に力の珠を３つとも渡し、予想外の痛烈な一撃を入れるという作戦を取ったのさ。剛の攻撃なら油断すると踏んでな。」

「なんだと…！！！」

「それにこの短期間では第四形態と力の珠の併用を習得するのは無理があったと言うのもあるがな…。」

「くそぉ…くそうううううう！！！こうなったら１００％の力を使ってやる！！！！僕のマックスパワーならこの程度のダメージを受けていてもお前たちと十分戦える！」

　転帝はパワーを集中させた。

「９６．５％…９７．８％……。

うおおおおおおおお！！！！」

　転帝はパワーを充填している隙を突かれて一にドリル状のエネルギー弾を撃ち込まれた。

「新技、『気合いドリル』だ！１００％の力を貯めるのを僕たちが邪魔しない訳ないだろう！」

「９８．９％…！！」

「隙あり！」

「うおおおおおおお！！！」

「空円斬！！！」

「炎雷弾！！！」

「気合いドリル！！！」

「ぐはああああああ！！！！」

「と！ど！め！！！」

「まてぇ！待ってくれぇ！」

「何だ命乞いか！？良いだろう捕虜に…」

「違う！命乞いなんかでは断じてない！ただ…」

「ただ？」

「僕のマックスパワーを見てみたいとは思わないか？」

「なかなか鋭い質問だな。確かに君の１００％の力を見てみたい気持ちもある……。だが！好奇心に駆られて勝ちを逃すような真似はしない！好奇心よりも勝機を優先する！戦士なら当たり前だ！しねええええええ！！！！」

「９９．１パーアアアアアアアアアアアア！！！！」

　一は念の為背後から襲い掛かり、転帝を消し飛ばした。

「今度こそ私たちの勝ちね！」

「やったな！所詮我々の敵ではなかったのだ！」

「いや……。」

　一は渋い顔をした。

「転帝に１００％の力を使われていたらおそらく勝てなかっただろう…。負けから学ぶ事は容易いが、勝ちから学ぶ事は難しい。人は勝った時に反省しようとすることが無いからだ。しかし、立派な人間になるには勝ちからも学ばなければならない。今回はなんとか勝てたが、今回の勝利に奢ることなく、各々鍛錬に努めて貰いたい。」

　一督戦隊は今回の勝利に満足することなく、また再び修行を始めるのだった。