10章 最後の三帝

 一督戦隊は再び打倒三帝の命を受け、新ソ連に侵攻していた。


「ここが最後の三帝のいるソチ共和国か。」

「いよいよ大詰めね。」

「三帝!出てこい!この一督戦隊一行様が相手だ!!!!」

「調子に乗るんじゃない……。」

「出たな!お前が最後の三帝か!」

「いかにも。僕が通称三帝の最後の一人、転帝だ。」

「お命頂戴!」


 一督戦隊は転帝との死闘を開始した。一は空に急上昇し、一気に第三形態に変身した。そして、地面にいる転帝に巨大なエネルギー波を発射した。


「一気に決める!!!他の督戦隊員のエネルギーを全て僕に集めた一撃だ!」

「ふん!こんなものぉ!」


 転帝は両手で巨大なエネルギー弾を受け止めた。


「こんなものおおおおおおおおお!!!」


 そしてそのままエネルギー弾をかき消した。


「なにぃ!?」

「そ、そんな…。」


 一がいる高さまで転帝も急上昇した。


「それがお前の全力か?」


 そう言うと転帝は一に突進し、頭突きを食らわせた。


「ぐうう!!!」


(正直今のはちょっと僕もひやっとしたぜ。だが全力でこの程度なら僕の勝ちだ。)


「くそおおお!!こうなりゃヤケだ!!!」


 一は第四形態に変身した。


「なにぃ!?第四形態があったのか!?」

「この形態は覚えたばかりで上手く使いこなせるか分からないがもう賭けだ!」


 一は転帝の腹にパンチを食らわせた。


「ぐほお!!!」


 転帝は怯んで地面まで急降下した。


「おええええええ!」


 転帝は膝を付き、嘔吐してしまった。一は間髪入れずに転帝の頭を踏みつけた。


「ぐおおおおおお!!おのれえええ!!!」


 転帝はバク転し距離を取った。


「どうやら眠れる獅子を起こしてしまったらしいな。」

「なにぃ!?ハッタリを!」

「僕はまだ90%のパワーしか使っていない。100%のパワーは使いこなせなくて身体が持たないから今まで出した事がなかったが…。ここで100%のパワーをお披露目しよう!」


 そういうと転帝の体内のエネルギーが急上昇し始めた。


「ば、ばかな!?」

「まだまだこんなもんじゃないぞ!もっと強くなるのだ!」

「させるかあああああああ!!」


 一は転帝の腹に膝蹴りを食らわせた。


「ふん!こんなもの!」


 転帝はびくともしない。


「まだ100%じゃないぞ。まだ99%くらいだ…。果たしてお前は100%の力に何秒耐えられるかな?」

「くそ…。」

「100パーセントおおおおおおおおおおお!!!!」


 転帝のパワーはピークに達した。すると転帝の身体は爆発した。


「ぐあああああああああ!!!」

「!?」

「そんな……!」

「100%のパワーが使いこなせないと言うのはハッタリじゃなかったようだな。100%のパワーに耐え切れず自滅してしまうとは。」

「くっそぉ…まだ逃げ切れるくらいの体力は残っている…次は必ず倒してやる…。」

「なに!?ま、待て!」

(くう…第四形態になるにはやはり無理があった…。体のあちらこちらが痛くて動けない……。)

「慣れないフルパワーで自滅した体と慣れない変身で動けなくなった体では決着は付けられまい。勝負はお預けだ!」

「く、バレていたか……。」

「引き分けだな。引き分けで手を打ってやる。」

「ああ、この勝負ドローだ。」

「次は無いと思え。」


 そう言い残し転帝は去って行った。

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