4章 魔人兄妹

 一督戦隊は大和帝国州の防衛任務終了後、大和帝国州で休暇を楽しんでいた。一達は大和帝国州のカフェで与太話をしながら寛いでいる。

 

「日本幕府の手練れを撃退した後のコーヒーは美味しいなぁ。」


 日本幕府は幕政復古を目指す大和帝国州の地域の一部である。日本幕府は新ソ連とも対立しており大和帝国州の独立を主張している。そんな日本幕府軍から大和帝国州の副首都を防衛したのである。


「ぼけーとしていて何を考えているんだ?」


 直樹が正広に尋ねた。


「あの娘を見ていたんだ。綺麗だなぁって。」

「本当だ。凄く素敵だ。」

「一緒にいる男の人も素敵だわ。」

 

 剛とハルヒも正広に同調した。

 ハルヒの視線の先に居たのは短い金髪で碧い眼の美青年である。

 正広と剛の視線の先に居たのは誰もが見とれるような美しい赤色の身長よりも長い髪をきらきら輝かせている美女である。その鮮血のような赤髪はとても美しく、プロポーションも誰もが振り返るほどに抜群である。その美女は両手で長い後ろ髪を掻き上げた。その美女の言動はとても上品であった。


「ここのお紅茶はとても美味しいですわ!」

「ここのコーヒーもうちじゃ飲めねえくらいにうめえぜ!」


 一緒にいた美青年はその美女とは対照的に言動が粗野であった。


「ワイルドだわ~。」

「品があるなぁ~。」


 その二人組に見とれていると二人組は店を出ようとした。


「1万800円になります。」

「俺様たちからお金を取ろうとは良い度胸だな!」

「わたくしたちの事を知らないじゃないかしら。」

「俺様たちは魔人兄妹だ!」


 その言葉を聞いて一督戦隊は驚く!


「魔人兄妹ですって!?」

「魔人兄妹と言えば、民間人を無意味に虐殺して全職解任された新ソ連の議員兼軍人の!?」

「あら、わたくしたちの事をご存知の方もいらしたみたいですわね。」

「その通り、俺様は通称魔人兄妹の兄の弁天ひかるだ!」

「わたくしは妹の弁天ひかりですわ!」

「魔人兄妹は魔法が使えて、民間人も見境なく魔術の餌食にしていると言われている…。」

「よくご存じですわね!」


 そういうとひかりは魔弾を口から発射しカウンターを破壊した。


「うひゃ~ひゃっひゃっ!」

 

 ひかりは上品な仕草で下品な笑い声を上げた。


「お~ほっほっ!俺様たちの恐ろしさを教えてやるぜ!」


 ひかるは上品な笑い声を上げ、尻から魔砲を発射し、お客たちを攻撃した。


「やめろ~!」


 一が止めに入った。他の隊員たちも後に続く。


「はぁああああ!!!」


 一は魔人兄妹に向けてエネルギー弾を発射した。


「ほほほほほほ!!!魔ホール!」


 ひかるはワープホールのようなものを二つ出現させ片方のホールからエネルギー弾を吸収した。そして、もう片方からエネルギー弾が戻ってきた。


「なにぃ!?」

「これが魔人兄妹の魔術か!うわさに聞いた通りだ!」


 一は自分が放ったエネルギー弾をガードした。


「ほっほっほ!この店内に軍人が紛れ込んでいたとはな。」

「ひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ~!」


 ひかりは口から魔弾を発射し天井を吹き飛ばした。


「いかん!みんな結界を張れ!」


 一督戦隊結界を張って崩落して来る天井から身を守った。しかし結界は人一人を守るので精一杯である。多くのお客が瓦礫の下敷きになった。


「きさまああああああああ!!!」

「ひゃ~っ!ひゃっひゃっ!!わたくしたちのマジックショーはお気に召したかしら?」

「ふざけんじゃないわよ!」


 ハルヒはひかりに光線を放った。ひかりはまた魔弾を吐いた。魔弾は光線を蹴散らしハルヒに当たった。


「きゃあああああ!!!」

「ほ~っほっほっ!いいぜ、ひかり!そのままうぜえ地球連邦を蹴散らしちまおうぜ!」

「うひゃひゃひゃひゃひゃ!勿論ですわ!」

「ほっほっほ!魔刀斬!」


 ひかるの手は魔法で作り出しソード状のオーラに覆われた。


「切り刻んでやるぜ!」

「空円斬!」


 直樹は空気の刃で応戦する。


「うひゃ~ひゃっひゃっ!風が気持ちいですわ!」


 ひかりは自慢の赤髪を風に靡かせている。そして、ウィンクをしながら投げキッスの仕草で魔弾を口から発射した。今までの魔弾よりはるかに大きな魔弾である。

 正広と剛と一は三重の結界を貼りなんとか魔弾を相殺した。が少し押し負けてふっ飛ばされた。


「ぐうっ!!!」

「うわああああ!!!」

「くそっ!!!」


 ひかりは余裕の表情である。


「御覧なさい!この美しく靡く私の長い長い赤髪を!わたくしの誇りである長い赤髪を風に靡かせるのはわたくしの生きがいですわ!!」


 ひかりは余裕見せてくしで髪の毛の手入れを始めた。高級なローションを髪の毛に馴染ませている。


「隙ありよ!火円弾!!!」


 ハルヒは背後から火炎の弾を発射した!


「私の力は回復よ!あの程度のダメージならすぐに回復できるわ!」


 ひかりは火円弾を背後スレスレをでかわした。


「わたくしの燃えるような赤髪のお手入れの邪魔をするなんて許せないですわ!」

「本当に燃えてるわよ!」


 ハルヒが放った火円弾がひかりの紅い髪の毛先に掠っていたのだった。そして、その燃えるように赤い髪に火円弾の炎が引火していた。


「きゃあああ!!あついあついあつい!!!」


 ひかりは慌てふためき飛び回った。


「髪がああああああああああ!髪があああああああああああ!!!わたくしの命より大切な長い赤髪があああああああああ!!!!」


 ひかりの長かった赤髪はあっという間に燃えつきてしまった。


「ああああん!!わたくしの美しい赤髪があ!壊されたぁ~!!!!」


 ひかりは悲しみ狂い、泣きながらも口から魔弾を連射した。これまでにないくらいの巨大な魔弾の連射である。


「まずい!ひかりを本気にさせてしまったようだぞ!」


 一督戦隊は連射される魔弾を何とかかわした。ガードしきれないので避けるしかないのである。


「追気光線!!」


 直樹はひかるに巨大な光線を放った。


「魔ホール!!!」


 二つのホールで吸収し、光線を戻した。しかし、光線はVターンしひかるの方に向かっていった。


「なんだと!」

「この光線は自在にコントロールできるのさ!」


 ひかるはかわすが、光線が再びVターンしてひかるの元に戻ってくる!


「危ないですわ!お兄様!」


 ズキューン!!!!


 ひかりは盾になり、兄のひかるを守った。光線はひかりの胸を貫いた。


「ひかりいいいいいいいいいい!!!!!」


 ひかるはひかりの元に駆け寄った。


「ひかり!大丈夫か!」

「もう駄目ですわ…。」

「しっかりしろ!」

「わたくしの髪の毛全部燃えちゃったわ~。だからもう生きてても仕方ありませんの…。」

「ひかり…。」

「くやしいですわ~。お兄様…私の髪の毛の仇を取って…。」

 

 ひかりはそう言い残すと絶命した。


「ひかりーーーー!!!!!」


 ひかるはそう叫ぶとありったけの魔力をひかりの死体に貯めた。


「いかん!何か良からぬことをするきだ!」


 その予想は的中した。ひかるはひかりと融合した。


「ひかりの仇は必ず討つぜ!」

「まずい!ひかるの魔力が段違いに上がった!」

「覚悟しやがれーーー!!!!」


 ひかるは体中から魔力を放った。一督戦隊は一気に吹き飛ばされた。


「くそっ!」


 一は第二形態に変身した。


「魔刀斬!!!!!」

「なんのこれしき!」


 一は刀手で剣戟した。


「おのれ~!!!」


 ひかるは股間から魔砲を発射した。一はすかさずかわした。


「こんなもので僕を!」


 一はひかるを押さえて締め付けた。


「は、はなせ~!!!」

「今だ直樹!」

「空円斬!!!」


 空円斬は一の身体をすり抜け、ひかるの身体を真っ二つにした。


「バカな!仲間の身体ごと斬るとは…。」

「残念だったな。この技は仲間の身体はすり抜けるのだ。」

「ちくしょおおおおおお!ひかり、すまねえ!仇を取れなかった…」

「地獄で詫びろお!!!!」


 一はひかるをエネルギー弾で吹き飛ばした。こうして魔人兄妹の魔の手から副首都の平和を守ったのであった。

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