朱亜ノ理
ラッコ
第1話
夏の夜、一人の女が暗い夜空を眺めていた。大気がゆるゆると女の輪郭を消すように柔らかく女を包む。
大気との境界線が分からないほどに溶けそうなその白い肌はどこまでも滑らかで、どこまでも清らかだった。まるで誰も触ったことがないように。
女は細長い指で煙管を回しながらため息をついては自分を包む大気を一層色濃くしていた。
「女の国。とはよう言ったものじゃ。」
そういう女の姿は静かで、いや静かすぎるほどであり、やがて来る嵐を待つ姿にも見えた。
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