我が喜劇
あおろま
プロローグ
思えば私は恥の多く愚かな人生を送ってきた。最もかの偉大なる文豪ほどではないと信じたいが、潜在的に楽に逃げ、「私には夢がある」と自身の心に嘘をつき、周囲をだまし、その結果として周囲のものを傷つけ迷惑をかけていたのだから、私はかの文豪よりも罪深く愚かな生き方をしてきたことは否定できぬ事実であろう。
私は罪深い人間だ。いや、私の中に確かな思いが宿っていない以上、私はもはや人間ですらなくただの木偶なのかもしれない。いずれにせよ私が罪深い存在であることに変わりはないわけだが。そしてその罪深さはどう生きようがぬぐうことはできまい。
だから私はここで愚かな存在に見合った愚かな結末を迎え、自身の愚行に終止符を打とうと思う。罪深さを背負うことに疲れてしまったこともあるのだが、自身の愚行を止めるためにはその方法しか思いつかないのだ。
さて、せっかく私が書く最後の文書になるのだから、私のこれまでの愚行をここで語ることとしよう。初めに断っておくと、私の人生の物語は悲劇ではなく喜劇である。それも、ただ面白おかしい高尚な喜劇でなく、愚行のみを描き、大衆から忌み蔑まれるべき低俗な喜劇であろう。誰が読んでいるかはわからないが、どうか辛き世の中の慰みとしてご笑覧いただければ幸いである。
ここにはじまりますは己を偽り生きた青年が繰り広げる罪と罰の喜劇。笑いあり教訓ありのこの喜劇をどうぞお楽しみあれ…
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