脱処女計画 前編

 夏休み。全く予定の無い、今日この頃。

 深夜アニメが終わり、そのままテレビを付けっぱなしにしていたら、バラエティ番組が始まった。

 深夜のバラエティ番組は、面白いものが多く、ながら視するのにちょうどいい。

 MCはどっかの芸人と、ひな壇には、複数の女性芸能人。この番組は、確か女向けの番組だったな。番組名は知らんけど。

 芸能人たちの声をBGMに、スマホゲーなどをやりながら、ちらちらテレビを視ていると、話題がピンクなものになっていく。深夜番組特有のエロ話、嫌いじゃないぜ。

 言っても、それは次のコーナーに行くための、繋ぎの話題である。そのコーナーとは、

「街角の10代女子にインタビュー! 今年の夏の、大人の階段」

 ふむ。

 確か、質問のテーマを決めて、一般の若い女性にインタビューする企画だったか、これは。

 このテーマからして、品の良いインタビューではないだろう。

「今年の夏は、大人の階段上りましたか?」

 男の芸人がインタビュアーとなり、そんな質問を街中の10代の女にしていく。

 これってセクハラにならんのか。

 というか、質問が直球すぎる。

「はい。彼氏と花火見に行った帰りに、うちで……」

 そうかそうか。

 死ね。

 というか、なにこのリア充女にだつ処女したか、訊いて回るコーナー。酷すぎるだろ。面白いけど。

 それから代わるがわる、リア充にインタビューしていく芸人インタビュアー。そして、

「100人の10代女子に訊いた結果、100人中78人が大人の階段を上ったようです!」

 マジかよ。

 半分をゆうに超えてるじゃないか。

「脱処女をすると、心に余裕ができて、周りの女の子からも、一目置かれるみたいですね~! 現場からは以上です!」

 テレビの言葉を信じるわたしではないが、思い返してみれば、確かにリア充はスクールカーストの高位にいる奴ら――クラスメイトから、一目置かれてる男女が多い。

 ……あの芸人インタビュアーの言葉は、一理あるのでは?

 あんなリア充バカどものようになりたくはないが、わたしも年頃の女子高生、低評価されるよりは、高く買われたい。それは誰もが一緒であろう。

 わたしも脱処女すれば、或いは……だが、

「相手がいない!」

 脱処女とは、処女でなくなること。

 男とセックスするということである。

 わたしは男友達が居ないどころか、男と話すことすら、滅多に無い。

 そんなわたしにセックスなどできようはずがねえじゃねーか! 死ね! ごめん死ねは嘘! まだ死にたくない!

「いや……待て」

 冷静になって考える。

 手はある。あるにはあるが……これは非常に、よろしくない、倫理や道徳に背く行為だ。

 禁じ手かもしれないが、しかしこの際、手段は択ばない。わたしも脱処女して、みんなから、なんかすごいって思われるのだ!(深夜テンション)

 思い立ったら吉日。

 わたしはパジャマ姿のまま、部屋を飛び出した。

 

 

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