第2話

犬。



ボクの家には犬が1匹いた。

自分で言うのもなんだけどものすごく可愛かった。


その後は元々肝臓が歩くて、ご飯は一気に食べられない子だった。持病もちだったんだ。


その子はたった7年でボクの前から消えた。

ほんとにあっという間だった。

普通に存在しているということが。普通が当たり前すぎて、その「死」という当たり前に気づかなかった。気付かないふりをしていた。いつか来るそれに。



その日、家に帰るとゲージの方からいつも来る視線が無かった。何も無いんだ。気配自体が。ほんとに気配って感じるもんなんだなってその時思った。

何も無いんだ。

なにも。




いつもボクの手から大切なものはすり抜けていく。

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