迷子

あれ、おかしいな

こっちじゃなかったけ

見た事ある気がするのに

どこで間違えたのかな


そういや僕ってどこから来たっけ

取り敢えず止まってみなきゃ

あれ

どっちへ進んでいたんだ


引き返したい

でも

行きも帰りも分からない

立ち止まったら行き止まり


地図もない

目印もない

灯りすらない

真っ暗なこの道


どこから歩いていたんだ

思い出せない

僕はなんでここに居る

僕はなんで一人なんだ


そうだ

居たじゃないか

隣に歩くあの人が

導いてくれたあの人が


どこへ行ったんだよ

教えてよ

どこへ行けばいいんだ

教えてよ


道の真ん中でうずくまる

辺りには次第に電気が灯り

部屋の中からは笑い声

僕の周りはただ無音


光の方へ歩きたい

あそこへ行って混じりたい

でも駄目だ

あそこには鍵が掛かっている


チャイムを鳴らせば来てくれる

でも中には入れてもらえない

必要なときには呼べるだけ

必要とされていないから


そういう事だ

僕が下を向いていた時

何かを探していた時に

君は家へ帰っただけか


辺りが騒がしくなっても

僕の周りは風が吹くだけ

動いていても止まっていても

止まった足はもう動かない


ここが僕の居場所になっちゃった

また呼べば来てくれるかな


誰も

オブジェに興味はないのよ


おバカさん





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