詩集 ドウケ

日々ひなた

はじまりはじまり

ドウケ

私の仕事はピエロである

色んな所に旅をして

出会った人を笑わせる

ただそれだけがお仕事だ


出来ることはとっても少ない

他のピエロのするような

大道芸はからっきし

おまけに持ってる小道具は

赤 青 黄色のお面だけ


そんな私が出来ること

言葉遊びとホラ話

これが私の商売道具


わたしは何をしているか?

それはとっても簡単だ

その日の気持ちの赴くままに

あることないことなんでもかんでも

持ってるお面を身に着けて

勝手気ままに話すだけ


赤のお面は好きじゃない

付けると心があったかく

自信があふれてくるようで

話もはずんできてしまう

それでもお客は笑ってる


青のお面は好きじゃない

付けると心は落ち着いて

他人を冷たく突き放し

とことん相手を追い詰める

それでもお客は笑ってる


黄色のお面は好きじゃない

付けると心がざわついて

自分が自分じゃないみたい

幼い頃に戻ったように

それでもお客は笑ってる


どんな理由があろうとも

いつもお客は笑っている

何を思って笑っているかは

私はちっともわからない

それでもみんな笑っている

笑っているなら幸せだ


笑うことが幸せならば

笑わせている私はどうか

いつもお面を付けている

お面の下の素顔はどうか


それは私もわからない

きっと誰にもわからない

それじゃあ私はいったいなんだ?


自分は誰だかわからない

それはみんなも同じはず

だってお面を付けている

みんなおんなじ笑った顔の


私の仕事はピエロである

色んな所に旅をして

出会った人を笑わせる

幸せという正義の元に


たった一人の孤独を溶かす

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