線香花火

ゆめ

線香花火

早く死にたいけど、今すぐにっていうのはちょっと惜しいな。

夏休みの予定もあるし。

そんな甘えたことを言いながら1日、1週間、1ヶ月数ヶ月、半年単位で延命してるうちに気づいたら数十年経ってて、

「若い頃は早く死にたいと思ってたのよ。だけどね」

なんて穏やかに笑うおばさんになるのかな。

別にそういうおばさんが醜いとは思わない。

何故なら今だって私は若いわたし自身のことを、美しいとは思わないから。

美しい顔を持っていないと美しいことを言えないし、美しいことを感じることも許されないような気がしてしまう。

そうしたらもうTwitterにすら何も書けない。

インターネット越しに可愛い女の子が笑っていて、読んでいる小説の登場人物があっさり死ぬ。

登場人物Aが死んだ後も物語は続いて、わたしはこの物語を追いかけているあいだ、1秒1分5分10分30分1時間単位で延命、今日も自殺をせずに1日を終えて眠りにつく。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

線香花火 ゆめ @2010929

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ