ぱらのいあ～闇い部屋と少女の御話～

終幕

……ああ、美味しかったなあ。

やはり食べるなら馬鹿な人間の魂に限る。

違う、ってそりゃあ当たり前でしょうに。だってれっきとした生きた人間なのだから。

面白半分で肝試しに来ただけの馬鹿だ。そんなことしなければ、これからも普通に生きていけたのに。

私を幽霊だと思ったのなら信じぬけばよかったのだ。まああの話自体作り話なのだが。幽霊に種類なんてない。総て等しく成仏できなかった人間の魂だ。生きている人間に害を及ぼさないのがただの幽霊で、害を及ぼすのが悪霊と呼ばれるだけの違いだ。

私は所謂悪霊。この部屋に誘拐された上に監禁されて、挙げ句の果てに忘れ去られた少女の霊である。

全く、最近の人間は面白いくらいに引っかかってくれる。そんなに自分というものが信じられないのだろうか。私としては楽できるから良いのだが。

愚かな人間ほど、美味しいものはない。

さー、次の獲物、早く来ないかなー。