愛情も寛容も胸に抱けない、間近に迫る死を待つだけの、悔悟しかない半生から少女期までの巻き戻し。
思いがけないやり直しの機会です。より良く強く生きようと決意した女の子でしたが、その決意もせっかくの新しい出会いも、貴族社会の理不尽が踏み躙ろうとしてくるのです。
密かな復讐心を燃やす彼女ですが、今度の人生は決して理解者や心を許せる者がいない訳ではありません。
このまま影を纏う復讐者となるのか、それとも違う選択をするのか、まだまだ予断を許さない状況です。
文章も書きなれた印象で、ストレスを抱きやすい欝展開でもとても読み進みやすく感じました。
復讐譚のカタルシスは、抑圧してくる相手をどのように遣り込めるかにあるかと思いますが、それはまだ先々の楽しみでしょう。
これから少女の道行きがどのように変わっていくのか含め、まだ序章であろう物語の今後に期待しております。