冷えた朝に灯る希望

第1話:笑み

「ってことはだよ、涼花りょうか。涼花はさ、ただ認められたいだけなんでしょう?浩二に、よしよしエライねって頭を撫でてほしいだけ。まあ、つまるところ浩二のことはそれほど好きではないってことだと思うのよね。あたしもそんな時あったよ、20の時さ、…」


はじまった。はじまってしまった。はじまりはじまり、ですよ。

百子ももこの止まらない恋愛談義。そんなチープな恋愛感は全人類が承知の上で生きていらっしゃる事を百子はまだ知らない。(全人類は言い過ぎか)


もし私が百子に1つだけ言わせてもらえるならこう言うでしょうね。

<あんたの未来の旦那彼氏、お気の毒。>


「ねえ涼花。」

「なに?」

「人間って、なんで恋愛するんだろうね。」

「……」


はいはいはい。続いてのコーナーはこちら。

百子のふわふわ恋愛哲学。これシリーズ化しています。略して「ももてつ」。全百子が泣いた。全百子が全身全霊で泣いた。キングボンビーも泣いた。ちなみに全涼花は寝ています。快眠まっしぐらです。


「百子。1つだけ言ってもいい?」

「やだ」

「あんたに拒否権はないんだよ」

「じゃぁ聞くな!」

「よりダメージを与えたくて」

「涼花の辛辣コメントはもう勘弁」

「あんたの未来の旦那彼氏……」

「お気の毒」「お気の毒」


「言わせてもらうけど、涼花の未来の旦那彼氏もお気の毒だと思うよ」

「は?」

「だって全部顔に出てるよ。私のこと心底うんざりしてる顔。まったく隠せてないよ。あたし全部気付いてるんだからね?」

「じゃぁ私が百子の事、どう思ってるか言ってごらんよ」

「大好きで仕方ない」


ふと視線を上げると、ファミリーレストランの窓から見える車は、スピード違反の速度で朝焼けを駆け抜けていた。

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