冷えた朝に灯る希望
淵
第1話:笑み
「ってことはだよ、
はじまった。はじまってしまった。はじまりはじまり、ですよ。
もし私が百子に1つだけ言わせてもらえるならこう言うでしょうね。
<あんたの未来の旦那彼氏、お気の毒。>
「ねえ涼花。」
「なに?」
「人間って、なんで恋愛するんだろうね。」
「……」
はいはいはい。続いてのコーナーはこちら。
百子のふわふわ恋愛哲学。これシリーズ化しています。略して「ももてつ」。全百子が泣いた。全百子が全身全霊で泣いた。キングボンビーも泣いた。ちなみに全涼花は寝ています。快眠まっしぐらです。
「百子。1つだけ言ってもいい?」
「やだ」
「あんたに拒否権はないんだよ」
「じゃぁ聞くな!」
「よりダメージを与えたくて」
「涼花の辛辣コメントはもう勘弁」
「あんたの未来の旦那彼氏……」
「お気の毒」「お気の毒」
「言わせてもらうけど、涼花の未来の旦那彼氏もお気の毒だと思うよ」
「は?」
「だって全部顔に出てるよ。私のこと心底うんざりしてる顔。まったく隠せてないよ。あたし全部気付いてるんだからね?」
「じゃぁ私が百子の事、どう思ってるか言ってごらんよ」
「大好きで仕方ない」
ふと視線を上げると、ファミリーレストランの窓から見える車は、スピード違反の速度で朝焼けを駆け抜けていた。
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