霊は答えを教えない。
ミウ天
1
僕にとって霊は、年を取るごとにその印象を変貌させていった。
幼少期はただただ恐怖の存在。
少年期は
青年になった今は、怖い展開は嫌ではあるが、霊そのものに嫌悪感はあまり持たなくなった。
元々はバラエティでの恐怖番組が起点となり、ホラーを苦手としているが、その割にはオカルト話や自身で書く物語には幽霊の出てくる話(無論、ホラー展開はほぼない)があるほどだ。
嫌よ嫌よも好きのうちとは誰が言ったものだろう。ここまで言いえて妙な言葉はない。
しかしながら、根は嫌っている御陰か、実体験にはそう恵まれてはいない。
果たして、嫌いなものに遭わずに済むと喜ぶべきなのか、小説のネタに出逢えないと嘆くべきか。
しかしながら、先程述べた通り、そう恵まれてはいないと僕は言った。
こんな僕でも、実体験はあるにはある。
ただ、世間がぞっとするような話では、壮大に僕が悪霊の呪いから逃げるような、そんなホラー映画も真っ青な話ではない。
ただ、一つだけ言えるとしたら。
残された者に、霊は答えを教えない。
僕には結局、何をすればいいのかなんてわかりっこなかったのだ。
罪なんてそんな大層なものでもないし。
誰かに咎められるような話でもないけれど。
それでも僕は、何かできたこともあるのだろうかと。
短いのか長いのかも、中途半端な今の人生の中で、幾度か考えてしまう。
これは、そんなお話なのです。
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