白蛇の庭

@serai

第1話 白蛇の夢

 士郎は、またあの夢を見ていた。最近、変わる事の無い同じ夢を何度となく見るようになって居た。

ザク、ザク、ザク

士郎は、お爺ちゃん子だった。何時もお爺ちゃんの後をついてまわっていた。士郎が8歳の誕生日の日にお爺ちゃんは、家の庭で白蛇を捕まえてきた。

「どうするの? その白蛇」

士郎は、無邪気に興味津々でお爺ちゃんに尋ねたのだ。

「うむ、この白蛇なぁ。何度も家の外へ放りなげても、遠い所へ捨てに行ってもなぁ。直ぐに白蛇の庭に戻ってくるんじゃ」

「へぇーっ……それって、不思議だよね」

士郎は、困った顔をして言うお爺ちゃんの前で目を輝かせてそう言った。

白蛇の庭……それは、士郎の家の庭の事だ。なぜか、昔からかもしれないが家の庭は、「白蛇の庭」(はくじゃのにわ)っと呼ばれていた。お爺ちゃんは、「うん」っと頷いたかと思うと白蛇を腰に提げてた手袋に詰め込んだ。そして、白蛇の庭の外へと歩きだす。

「お爺ちゃん? どこ行くの?」

「ああ、ちょっと田んぼになぁ。捨ててくる」

お爺ちゃんは、そうたどたどしく言うと再び士郎に背を向けて歩き出した。そんなお爺ちゃんの後をトコトコと士郎は、ついて行った。

ザク、ザク、ザク

士郎は、それを震えながら眺めていた。お爺ちゃんは、まるで鬼気迫る形相であの白蛇を田んぼの真ん中で殺して居たのだ。両手に持ったクワで何度も何度も叩き潰すように何度も。

ザク、ザク、ザク

「クソ、クソ、クソ、何故だ、何故だ、何故だ」

そのかすれて消えてしまいそうなお爺ちゃんの声が士郎の耳元に残って離れなかった。そして、その三日後にお爺ちゃんは、心臓発作であっけなく死んでしまったのである。

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