ヒカリの記憶

フルミ製作委員会

第1章 傘

雨———。



雨がふっている。



初夏特有のじめっとした空気。



ここは公園。



「っくしゅ—。」



雨の中立ち尽くしていたせいで、いつの間にか体温が奪われていたようだ。



突然、視界が陰る。見知らぬ黒い傘が私を覆っていた。



「風邪ひきますよ」



見知らぬ少年が私の顔をのぞき込む。まっすぐな綺麗な瞳。



「雨、これからひどくなるみたいですから、早く帰った方がいいですよ」



少年は私に傘を持たせると、「それじゃ」と言ってどこかへ走っていってしまった。



「かさ…」

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