放浪の騎士と漆黒の少女

ユウやん

災厄の魔女と恐れられた少女

プロローグ

 遺跡の最奥、その場には広い空間が広がっていた。

 天井は時間が経ち朽ちたのか崩れており、そこから日の光が差し込み広場を照らしている。

 地は草が生い茂り手入れはされている様子で長い間人が立寄った形跡も無く、気持ち良さそうに隙間風に揺られている。

 そんな中に不自然な場所が一箇所だけあった。

 広場の中央、そこに両手足を枷と鎖で自由を奪われている少女が項垂うなだれて存在した。

 いつからそこに居るのか服は朽ち果て隙間から白い肌が見えている。

 所々傷が有り、痛々しく見ていられない程だ。

 だが健康状態は良さそうだった。

 ふっくらとした頬も、身体も痩せこけている訳では無さそうに見える。

 黒い髪は綺麗に手入れをすれば腰まで有る長い髪だろう。

 一歩少女の方へと足を踏み出した。


「だれ?」


 透き通った水の様に澄んでおり、鈴の様に美しい声が響く。


 これがエルネとの出会いだった。

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