平凡

平凡


私は並平均的な普通の女で

ごく普通の家庭で育ち、

両親に線引きされた道を

そのまま歩いてきた。


今日も、後5分語には目覚めて

二度寝したことを後悔しながら、

決まったルートで会社へ向かい、

決まった仕事をこなして、

決まってタチの悪い上司に怒られ、

決まって定時にはあがれない不満を募らせる。


決まって毎日がつまらない。


ああ。なんでこんなに決まってるんだろう


────────────。


…ピッ……ピピピピピピピッ。


「……ん……。」


この目覚まし時計は裏のスイッチを

きらないと耳障りなこのピは止まない。

決まって腹が立つ。


「………ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙うるっさい…。」


…………………………。


いつものように支度をしようと

目を向けた時計の針はとうに

5分を過ぎたどころの騒ぎでは無かった。


まさかの三度寝だ。


「……………!? 」


携帯を開くと鬼のようなの着信。

早くも消え去ったやる気とともに私ごと

消えたくなるところを抑え渋々折り返す。


…………


「すみ…」


「おい!!何やってんだ!!!!何時だと思ってる!!」


「すみません…体調が優れなくて…」


「…何故もっと早くに連絡をしない!!」


「トイレから離れられなくてですね…」


「来れないんだな!!分かった!!」……ブチッ……


仮病を使ってこんなに心が痛むとは、

どうしようもない後悔が

生まれてしまったものだ。


しかもトイレって...。


深い罪悪感に包まれ悲観的になった

自分に浸りながら暫く天井を見つめ

日が暮れる頃にはそれから開放感された。


「よし……ヤケ酒だ…」


鉛のように重かった身体が嘘のように

颯爽と着替えをし化粧をして

粧した姿に気分が上がり

ろくでなし万歳とばかりに軽やかな足取りで

いつもの居酒屋とは違うBARに向かう。


「いらっしゃいませ…」


腰をかけても絵にならない

カウンターに座り、


「チャイナブルーを下さい…」


なんだか不釣り合いな

青く澄んでいて柑橘系のスッキリした

甘くて綺麗なカクテルを頼む。


目の前で優雅に振られるシェイカーを

眺め…ぼーっと明日の事を考えてしまう。


明日はきっと上司に怒号をあげられて

私はへこむだろう…。


考えれば考えるほど憂鬱に変わりはないの

だが、悪さをしてしまった私と緊張のはしる明日が何だか新鮮で変な感じ…。


「お待たせしました。」


差し出され軽く会釈をし

口に含んだチャイナブルーも

なんとなく甘ったるい気がした。



「 決まって明日は憂鬱だ。 」


────END

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平凡 @candy_xxx_burst

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