神様が勇者を使って魔王を討伐するそうです

古嶺こいし

勇者を決めましょう

第1話 事の始まりは

神は言った。


暇だと。



「寝言ですか?寝てるんですか?寝てるならさっさと起きて仕事してください、神様」



秘書に怒られた。

頼むからその巨大な翼をバサバサさせながらコッチに来ないでほしい。怖い。



「違うのよ、最近ちょっと疲れすぎて現実逃避していただけよ」



神は書類に囲まれた机に突っ伏してシクシクと泣いた。こんなはずじゃなかった。ほんの少し前はこんな大変じゃなかったのに。


神の名前はダリス・テータス、世界の管理人を指定して世界のバランスを整えて管理する事が仕事である。しかし、最近世界がどうしたことかビッグバン並の勢いで増加し、神の管理人を指定して役目を与える仕事が追い付かなくなっていた。それこそ、その人を観察して本当に管理人に相応しいかを見極める暇さえなくなるほどに。


お陰さまであっちこっちの世界の管理人が逃亡したり暴走したり、まぁまだ管理人が居るだけならまだいい方で、下手すれば管理人が討伐されたりまだいなくて放置されたりしている。


管理人いないと地獄化するから早く就任させないといけないのは分かるのだが、手が足りない。めっさ分身体作って役割分担して頑張っているのに追い付かない。おかしいよこの状況。



「現実逃避するのは勝手ですけどね、見てくださいよこれ、管理人不在のF25495世界と管理人討伐されたM4428世界が衝突しているんですけどこれ不味くないですか?Mの魔力がFに流れ込んでますよ、ついでに住人も。Fもともと魔力存在しなかった世界ですよね、やばくないですか?これ」



部屋の真ん中にある世界球分布図の秘書に指差された所を見てみると二つの世界球が衝突真っ最中であった。OMG。



「あああああああ!!!!やばい!!!えー!!やばい!!!世界征服されちゃうううう!!!!」


「だから早く討伐されたなら任命しなさいと言ったじゃないですか。世界バランスを考えないで私利私欲に走っているじゃないですか」


「だって忙しかった!!だって忙しかった!!」


「地球産のゲームする余裕はあるのに?」


「……………」



何故バレてる。隠れてやっていたのに。

そんな顔をしている神に秘書は全ての漫画、ゲームは把握していますと返した。おかしいな、次元をずらした空間に隠していたのにな。


秘書は衝突中の世界球二つを無言で指差した。


「早く何とかして来てください」


「………はい」

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