七夕の戸惑い

(朝イチの会議。岡崎、会議資料の日付を見てハッとする)

岡崎「……『え、今日って七夕か……?

 今まで特に祝ったこともない日だったけど……今ってあいつ俺のすぐ上の部屋にいるし、会おうと思えば会えないわけじゃないし……ってことはイベントらしい何かをするべきか?

 しかし今の今まで全く思いつかなかったわけだし、別に今から急にあれこれ考えることもないんじゃないか……いやでも、何気にそういうイベント好きだったりするからなあいつ……え、もし何か期待とかされてたらどーすんだ……??』」

海外事業部長・若狭「では、資料の2ページ目をご覧ください。2021年度第一四半期の海外事業部の実績については岡崎から説明します。

 ……岡崎くん……岡崎くん!?」

岡崎「えっはっはい!!?」

若狭「(岡崎へ向けてにっこり)んー、2ページ目のね、うちの部門の実績について説明してくれるかな? っていうかさっき事前打ち合わせしてあったよね??」

岡崎「あ、は、はい、申し訳ありません……

 では、資料2ページのグラフ1をご覧ください。

 この第一四半期において我が部門は経済状況が上向くアメリカを中心に実績が大きく伸び、カリフォルニアの関連会社からも一層の連携強化を図りたいという希望が上がってきております…………『あーーそうだった、ここのCEOのクリスからもメールもらったんだった、そろそろまたこっちへ海外出張してきたらどうかって……彼、まだ俺のこと諦めてないっぽいんだよなー。さすが敏腕CEO、なかなかに粘り強い。そのこともあいつに話しといたほうがいいよなあ絶対……

 ってことはやっぱり今夜会う約束でもしておくべきか? 確かに七夕っていう口実があった方がこういう重い案件もさりげなく切り出しやすかったりするかもしれない……うーーんだがしかし』」


若狭「……岡崎くん……岡崎くんっっ!!!???」



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