花見

吉野「桜、綺麗だな」

岡崎「ああ、そうだな……」


吉野「『……こいつの横顔も、綺麗だ……』

 ……なあ」

岡崎「ん?」

吉野「……いや……ほんとは、もっとのんびりできるといいな……なんて思ってさ。ランチタイムだけじゃなくて」

岡崎「『ふん。今更気づいたか』……まあ、実際には時間作るのもなかなか難しいけどな……

それより……吉野。

今日は俺、サンドイッチのトマト抜いたんだ」

吉野「……えっ」

岡崎「そうだ。BLTのT抜き……正真正銘のBLだ」


吉野「……お前……

 とうとう、その気になってくれたのか……」

岡崎「ああ。

 ——やっと、お前の気持ちに応える決心がついた」

吉野「……岡崎……」

岡崎「今まで待たせて、悪かったな。……さ、じゃ早速やるから早く準備しろ」

吉野「え……やるって……

 いっ、今ここで……?」

岡崎「ん……嫌なのか?」

吉野「え、だっだだってそんなアオ……あーー心の準備がっっ……(激しく動揺しつつモジモジ)」

岡崎「今日こそ勝ちは俺のものだ。そのために苦手なトマトを抜いたんだからな」

吉野「——は?」

岡崎「だから。お前やりたがってたろ。小3の給食で引き分けだった早食い競争の再試合」

吉野「——……

 って覚えてねーよっっそんなもんっ!!!」



 結局自ら花見を台無しにする、記憶力抜群のボケ岡崎でした。






  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る