晩夏
たがみ
第1話
君想い 星を仰いだ 夏の暮れ___…
星の向こう、空の彼方。
吸い込まれるような漆黒に、白く煌めく星が滲む。
ここから見える今の景色。
汚いと言ってしまえばそうだろう。
絵の具をべちゃべちゃと重ねた上に、白い絵の具を零したようだ。
なのに。
そんな晩夏に面影が浮かぶ。
でたらめに、泥のような絵の具をぶちまけては辺りを汚して、絵の具の跡が残ったままの顔でふにゃりと笑う。
愛していた。
そう言ってしまえば良かったのだと、霞んでいく空に、どうしようもない思いをぶつける。
しかし空は受け止めるばかり。
僕のすべてを受け止めて、自分は何も言いやしない。
__ああ、どこまで君にそっくりなんだ。
今はもういない君に、月が綺麗だと言えなかった。
星はいつまでも綺麗だった。
晩夏 たがみ @leflet_f
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