和髪の使い魔(くろのつかいま)

@kinjirou1123

第1話 ある冬の日


ある冬のある日……。


「 ピョピョピョピョ 」


小鳥のさえずり。


「 あーー朝かぁー 」


「 どっかにいい仕事落ちてないかなー 」


愚痴を垂れながらも重たい体を起こしてカーテンを開ける。


昨日は1日雪かきをしていたにも関わらずわりと元気である


「 今日も頑張っかー 」


「 あーさみぃー。 」


部屋をでて暖炉に火をつける。1人にしては割と広い家である。


「 あー薪が足りなくなってきたなー 」


「 ……割るか。 」


外にでて薪を作る


「 ヨッコイセェェ! 」


綺麗に二つに割れる。かなりの力である。まだ若い彼は体はそこまで大きくなく、平均的な身長で筋肉の付きはかなりいい。顔もなかなかのイケメンである。


しばらく割っていると、背後から、震えるような声が聞こえてきた。


「 アー坊、朝から性がでるねぇぇ 」


「 おっ婆さん!!、どうしたんだよ!珍しいじゃねーか! 」


「 いやいや。王都に行く前に息子の顔でも拝めとこうと思っただけじゃ 」


「 王都? 」


眉が細まる。


「 なんでまた王都なんか 」


「 あんなとこ金にしか興味ない連中の町だろ?そんなとこ行ってどーすんだよ 」


「 いやのぉ。今月の配給を貰っておらんで。お願いしにいくだよ 」


この村は王都からは離れており、行って帰って来るにはかなりの時間がかかる。そんな所に1人で行かせるのは心配な所があった。


「 そんなの俺が稼げばいいだろ!! 」


それを見透かしたかのような目と口調でかえす


「 これも村長の役目じゃそれにお前にまともな仕事が務まるかいなぁ。 」


その少年は気が短く今までの仕事はほとんど暴力沙汰を起こして首になっている。しかし少年も引き下がらない。


「 だけどなぁ! 」


子供を見るような優しい目で見る、そして優しい口調で


「 ええてええて。女王様にお願いしてくるでな 」


「 大人しくしちょらんね 」


負けた。この人なら大丈夫だろうとおもい送り出そうとしたがなんだか寂しかったので子供のように捨て台詞を吐く。


「 ちっ。頑固婆さん 」


「 言っておれ……んじゃいってくるでな 」


婆さんの帰りを信じ送りだした。


「 ああ……行ってらっしゃい 」


婆さんを見送り薪割りの続きを始める。


「 オリヤァァァア!!!! 」


かなりの汗をかいた、婆さんが王都に行ってから、もう2、3時間経っていた。


「 フゥ。疲れたぁ 」


婆さんを心配しつつ飯を食べてないことに気づく。


「 うし、飯でも食うか 」


少年は物心ついた時から1人で暮らしていたので料理はうまい。朝食を取り終えた男は仕事に向かう。まだ雪かきの仕事がのこっているのだ。


「 あぁ仕事、いやだ、めんどくさい。」


少年はちまちまする作業がきらいである。しかし、性格上そのような仕事しか貰えていなかった。


雪かきの仕事もおわり村えと帰って婆さんが居ない家へと入る。


「 はぁぁ婆さんの家はいつ見ても綺麗だな! 」


特にやることもなかったのだが昔はこの家に住んでいた。少年は幼い頃の記憶はないのだか、この家に少しの間住んでいたと聞いた。


「 ふぅーん、この家に俺は住んでたのかぁ。」


住んでいたと言っても思い出のようなものはない。


面白い半分で部屋をあさる事にした。


「 何か面白いものとかねーかなー 」


ベットの下から一枚の紙が出てきた。それは明らかに古く。そして何か水でもこぼしたのだろうか。ポツポツと水でふやけているような見た目である。


「 なんだこれ… 」


裏側には文字と魔法陣らしきものが描いてあった。


この世界では魔法はそんなに珍しいものでも無い。


ただ使えるのは一部の才能のあるもの、もしくは王家の血を引くものである。


「 婆さん…あんたいったい、何者なんだ。」


そして魔法は買うことも出来る一般市民が使える魔法は魔法屋さんに売ってある。


しかし婆さんのそれは明らかに違った。異質な何かだった。


「 なんだよ。気味が悪いな。」


なんだか気持ち悪くなったので少年はそれを元の位置に戻し興味も冷めたので自分の家に帰る事にした。


「 あーあーなーんかいい仕事ねーかなー。」


とりあえずまだ時間はあったので街に降りていき就職の求人情報を確認する。


これがこの少年の日課である。


「 やっぱなんもねーなぁー…ん?なんだこれ。」


そこには「金儲けギルド、仲間募集」の張り紙があった。


「 金儲け?……まじか!!これだぁぁぁあ! 」


狂った獅子の様な勢いで張り紙に書いてかった場所までいく。ついてすぐ目を疑った。


「 な、なんだ。これは…… 」


そこにあったのはギリギリ建物と呼べる程度の小屋があった。


「 ま、まあいい。金儲け出来るギルドらしいしな!とりあえず入ってみっか! 」


ドアを開けようとする。ドアノブは人が使っているからだろうか。すこし光沢がある。


「 こんちはー!この張り紙見て来たんだけど!この「金儲けギルド」ってのはここであってんのか! 」


入ってみると、中は凄く暗い。かろうじて人が何人かいるのがわかる。中から1人の男が出て来た。


「 誰だ……お前。」


その男は暗闇の中でも存在感を放つほどの気配と殺気に溢れている。


「 俺はこのギルドに入ろうと思っているものだ! 」


その男は顔をピクリともさせず、続ける。


「 お前使い魔もってんのか? 」


男が何を言っているのかわからない。


少年は産まれてことかたそんなに言葉を見たことも聞いた事も無い。


魔法が売られているのは知っていたが使い魔なんて聞いたことがなかった。


「 え。……なんだ?それ? 」


















  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

和髪の使い魔(くろのつかいま) @kinjirou1123

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ