第80話

「うむ……

 最初に粋がって来た割には脆いな」


 モトフミがそういってオトネの身体を魔力で出来た鎖で拘束する。


「貴方は許さないのですますよ」


「さて、どうしてくれようか」


 モトフミが嬉しそうに笑う。


「無限の再生と命を与えマグマの中に放り込むとかどうだろう?」


「ドSなのですますね」


 オトネが小さく笑う。

 すると轟音が鳴り響く。


「それがお主の選ぶ死に方か?」


 そういって現れたのはかみさまだった。


「なんだ、シンか?」


「かみさまだ」


 かみさまが、そういってオトネの方に向けて人差し指を向ける。

 するとオトネを拘束していた鎖が破壊される。


「シンよ。

 我のもとに返ってこないか?」


「我のもと?」


 かみさまが首を傾げる。


「我、元無極躰主王大御神のもとだ」


「主が、元無極躰主王大御神?

 それはジョークか?」


 かみさまが小さく笑う。


「それは我を愚弄しているのか?」


 モトフミがそういって、かみさまを睨む。


「そのセリフ……

 そっくりそのまま返してやる。

 父上はそんなセリフを言わない」


 元無極躰主王大御神。

 それは、かみさまの父親に当たる。

 そして、元無極躰主王大御神がかみさまに命令した。


「偽物のモトフミをぶん殴って来い」


 かみさまは、その指示に従いモトフミを殴りに来た。


「何を言っている?

 我が本物の!神だ!」


 するとオトネがいう。


「薄々気づいているんじゃないですますか?

 貴方そのものが偽りの存在であることに」


「何を言っている。

 この強固な盾を見てもそれをいうか!」


 モトフミが無限の盾を構える。


「それだ、それがそもそもの間違いだ」


 かみさまが、そういってその盾ごと拳で破壊した。


「な……こんなことが……」


 モトフミが一歩下がる。


「さて、どうしたものかな」


 そういってセロが現れる。


「あ、ご主人さま!」


 オトネがセロに抱きつく。


「なんでこうなのかな。

 ベルゼブブもそうだけど、僕の見せ場ないじゃん」


 セロがそういうとモトフミが驚く。


「ベルゼブブをどうしたのだ?」


「ベルゼブブは、どっかへ行ったよ。

 フィサフィーがどうのこうのって言ってたな」


「そうか……

 そういうことか、我もまた偽りに命というわけか」


 モトフミは絶句した。


「余はかみさまだ。

 主が改心するのなら、父上に頼んでやるが?」


 するとモトフミが言った。


「いや、我がやることはひとつ」


「お?来るのか?」


 セロが拳を構える。


「フィサフィーに真実を聞く」


「そうか」


 かみさまがそういって笑い言葉を続ける。


「フィサフィーの場所に案内してくれ」


「ああ。

 構わんさ。どうせそこにベルゼブブもいるだろう」


 モトフミは拳をうえに上げる。

 すると世界が変わる。


「移動神術。

 流石だな」


 かみさまが嬉しそうに笑った。

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