第71話

「じゃじゃーん。

 ピノも着いたよー」


 ピノが優とともに現れる。


「あ。なんかどっかで見たことがある顔ですますねー」


 オトネがそういって首を捻る。


「……どうも」


 優がバツが悪そうに会釈した。


「うん。

 確か田中さんに預けた人だよね?

 どうしてピノさんと一緒にいるの?」


 セロがそういって田中の方を見る。


「まぁ、事情は色々ありますが。

 今は戦力として数えてください」


 田中がメガネを拭きながらそういった。


「あ、田中さんだ」


 オトネがそういって田中の方を見る。


「そう田中ですよ」


 田中が目を細くして笑う。


「まぁ、いいよ。

 優くんだっけ?よろしくね」


「うん」


 セロがそういうと優は小さくそううなずいた。


「まぁ、ですますスイッチ一同参加するよ」


 新一がそういうとメンバーの裕也と太郎もうなずいた。


「全員一致ですね。

 珍しい」


 キサラギがそういうとセロが首を振る。


「僕は参加しないよ?」


 セロの言葉にオトネもうなずいた。


「ご主人様が参加しないのならオトネも参加しませんですます」


「そうか……」


 裕也が残念そうにうなずいた。


「マジでか?」


 百道が驚く。


「大マジだよ。

 ヒーローなんかになりたくない」


「突然の駄々っ子か?」


 健太がそういうとセロがうなずく。


「駄々っ子でいいよ。

 僕はヒーローが嫌いだ」


 セロはゆっくりとした口調でそういった。


「そんなやついるのか?」


 健太がそういうとセロがうなずく。


「僕の親はヒーローに殺された。

 父も母もヒーローに殺された」


 セロがそういうと清空がいう。


「それは違う!」


「違わない」


 セロは首を横に振る。


「戦えとは言わない。

 だがそれは否定させてもらう」


 清空がそういうとセロが怒鳴る。


「ヒーローが、僕とオトネの家族を殺した」


「ちとまてどういうことなんだそれ?」


 百道が追いつけない。


「……じゃね」


 セロはそういってオトネと共にその場から姿を消した。

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