10 流れるメロディ

第70話

 ――とある天界。


「……白銀の魔力が消えたな」


 漆黒の闇を背負った男がいう。

 男の名前はベルゼブブ。


「所詮は紛い物。

 使い捨ての魔王だ。

 気にすることではない」


 白き羽衣を纏う男がそういった。

 男の名は元無極躰主王大御神(モトフミクライヌシノオオミカミ)。

 通称モトフミ。

 神を名乗る男だ。


「さて、では始めましょう」


 フィサフィーがそういって笑う。


「ああ。この世界を手にするのは我々だ」


 ベルゼブブがそういって小さくうなずく。







 ――曽呂勇姿学園


「お?丹歌が戻ってきたぞ」


 そういって焔が丹歌を迎え入れる。


「げ……

 893のボスがいる」


 百道がそういって秋夫の方を見る。


「一応あの人、僕らの保護者だからね」


 夏樹がそういってため息をつく。


「お?夏樹久しいな。

 栃木に愛媛。お前らも元気そうだねぇ」


 秋夫が、そういって笑う。


「秋夫さんも元気そうでよかったよ」


 夏樹がそういうと十三が言葉を放つ。


「んでさ、これからどうするの?」


 すると待機している清空が言葉を放つ。


「さて、できるならコード893の皆様方の意見を聞こうか?」


「僕らが正義のヒーローとかと勘違いしていないか?」


 秋夫がそういうと灰児がニッコリと笑う。


「でも、重徳さんは反対しないだろ?」


 大阪重徳。

 コード893の最高幹部。

 893の頂点に立つ男だ。

 その男が静かに言葉を放つ。


「まぁ、反対はせぬ」


 重徳がそういって葉巻を吸う。


「なんだ組長も来ていたのか?」


 秋夫が小さくため息をつく。


「まぁ、こんな大変なとき。

 ボーッとしていられぬ」


 重徳がニッコリと笑う。


「じゃ、参加するのかい?」


「ワシは重徳。

 いいことをすればするほど強くなる。

 そんな男だ。お前も知っているだろう?」


「知ってるよ。

 だったら僕も力いっぱい頑張るよ」


 秋夫はため息混じりに賛同した。

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