第69話

「歩法を制すものはすべてを制す」


 そういってひとりの男が現れる。

 虎のマスクをしたひとりの男。


「誰だい?

 ここは、僕と丹歌くんの死闘の末。

 僕が圧勝するシナリオが――」


 白銀がそこまで言いかけたとき虎マスクの男が白銀の背後に回る。

 そして一撃浴びせる。


「この動き……

 もしかして……」


 丹歌が目を丸くして驚く。


「僕の名前は星野 新一さ……」


 新一がそういうとそのまま白銀に一撃ダメージを与えた。


「アイドルごときが僕と戦うのかい?」


 白銀がそういうと新一が笑う。


「もし君が本物の白銀なのなら苦戦したかもだね」


 新一がそういうと白銀が笑う。


「戯言を……」


「だってそうだろう?

 君は偽物なのだから」


「そうこの力……

 アトラク=ナクアを見てもそう言えるかな?」


 白銀はそういうと目が赤くなる。


「そうかい?

 アトラク=ナクアの力はその程度なのかい?」


「なにを言って――」


 白銀がそういいかけたとき片腕を失う。

 新一が、罪獏刀で斬ったのだ。


「今は君程度の雑魚を相手にするわけにはいかないんだ」


 白銀は恐怖した。

 死が見えた。

 白銀は、新一に背を向け逃げようとした。


「こんなはずじゃ……

 僕は、コード893を利用しテオスを利用し……

 そして――」


 白銀がそう言いかけたとき目の前に現れたのは、南 秋夫。

 コード893のひとり。


「俺は短気だからよう。

 ガキどもが死んでいったあの事件のことは許せねぇ」


「ヤクザ如き。

 片腕がなくても!」


「片腕?両腕の間違いじゃないのかい?」


 秋夫がそう言って白銀のもう片方の腕を後ろに投げた。


「ひ、卑怯だぞ!」


「お前さん、誰を相手に言っているんだい?

 俺は、なんだ?」


 今にも泣きそうな白銀に秋夫が言った。


「ヤクザ」


「そうさ。俺はヤクザ。

 卑怯なことが大好きなのさ」


 そう言って白銀の胸に穴を開けた。


「あ……」


 白銀は断末魔をあげることなく。

 その場で生命を落とした。


「えっと、展開が読めないのですが」


 丹歌がそういった。


「簡単です。

 悪がひとり滅んだ。

 ただそれだけです」


 新一がそういった。


「貴方はもしかして、本物の……」


 丹歌が新一の目を見る。


「今は、ですますスイッチのメンバーです」


「……そうですか」


「さっきの白銀はクローンなのかい?」


 秋夫がそういうとおぢやビンゴが答える。


「そうですね。

 クローンです。

 フィサフィーはクローンを作る天才ですから」


「フィサフィー。

 ベルゼブブとも繋がっていたのかー

 やだねぇ」


 秋夫がため息をついた。


「まぁ、悪あるところにフィサフィーありですよ」


 新一がそう言って笑う。


「さて丹歌くん。

 貴方は学校に戻りなさい」


「え?」


「秋夫さんお願いしてもいいですか?」


 おぢやビンゴの願いを秋夫は渋々頷いた。


「構わないよ。

 でも、ヤクザをタクシー代わりに使うなんてなかなかのおやぢだね」


「ははは。

 褒め言葉として受け取るよ」


「褒めてないよ。

 まぁ、いい。

 丹歌っつったね。

 歯を食いしばって行こう」


 秋夫は、そういって丹歌の身体を掴みそのままワープした。


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