第33話

 しかし、フィサフィーには効かなかった。


「罪獏刀か……

 じゃが、ワシには効かぬよ」


 フィサフィーが眉を細めて笑う。


「んー

 なんとなくわかっていたけど、ちょっとショックだね」


 虎マスクの青年は、小さくため息を吐いた。


「罪が重ければ重いほど威力を発揮するその刀。

 じゃが、ワシには罪などない」


「あんなに人を殺しておいてそんなことを言う?」


 フィサフィーの言葉に虎マスクの青年は冷たい目でそう言葉を投げた。


「人を殺すことか。

 そんなのただの戯れじゃ。

 主らが虫を殺すとき罪悪感など感じておらぬじゃろう?

 それと同じ――」


 フィサフィーが、そこまで言葉を放つとそこから素早く離れた。

 自ら足を爆破させその場から離れたのだ。


「セロ、主は相変わらず容赦ないのぅ」


 フィサフィーがそう言って爆破させた足を修復させる。


「……生憎、僕はヒーローじゃないんでね。

 卑怯と言われようともなんとも思わないよ」


 セロの言葉にフィサフィーは笑う。


「セロ、裕也!

 そして、新一!

 主らは素質がある!ワシらのもとへ……

 テオスの参加に入らぬか?」


「お断りだね」


 セロは、そう言ってフィサフィーの方に手を伸ばす。

 フィサフィーはそれを避ける。


「フォフォッフォフォ。

 主に触られるのは少し厄介でな!

 避けさせてもらうぞ!」


 フィサフィーが、そういうと虎マスクの青年が拳を振り上げる。


「歩法第一章:序幕!」


 そして、掌底をフィサフィーに浴びせた。

 フィサフィーは口から血を吐いた。

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