第6話

 セロは、空を見上げて「うーん」と唸った。


「ご主人さま、どうしましょうか?」


 オトネが、首を傾げてセロの方を見た。


「でも、戻るのはちょっと恥ずかしいかもだね」


 セロが、少し照れながらそう言った。


「そうですますね」


 オトネが、ニッコリと微笑む。


「えー。

 兄ちゃん戻ろうぜ?

 先生には、俺からお願いするからさ!」


 元太が、そういうとセロの後ろから女の人の声が届く。


「なら、私が宿を紹介してやろう」


 そう言って女子高生の制服を着た少女がセロの前に現れる。


「あ、先生」


 セロは、その少女のことを先生と呼ぶ。

 少女の名前は、詩空 清空。

 神族の象徴である、輪が頭の上に浮いている。


「久しいな!セロにオトネ!」


 清空が、そう言ってオトネの胸に手を当てる。

 するとオトネも清空の胸に手を当てる。


「成長してませんね」


 オトネが、そういうと清空もニッコリと笑う。


「お前も成長していないな!」


 そして、何かを確認するかのように抱き合う。


「なにをしているんですか?」


 充が、セロに尋ねる。


「僕に聞かないでよ……

 あのふたりの友情がそうさせているんだと思うけど……」


 その言葉を聴いた清空が言った。


「ふ……

 貧乳は正義だ!」


 そして、ふふふふと笑った。


「で、宿って……?」


 セロが、話をもとに戻した。


「ああ、パン屋の山田があるだろう?」


「あ、はい」


「あそこが運営しているマンションがあるんだ。

 そこで、しばらく住むといい」


「そこで、ご主人さまと住むのですか?

 私の純情奪われますですますか?」


「それは、主の努力次第だな!」


 清空の言葉にオトネが笑う。


「照れますね」


 オトネがそう言って顔を赤らめる。

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