神の魔術師~Fall MOON and Golden FLAME~
壱ノ瀬和実
掟破り
終焉の果て、光と闇。
朝焼けが青になる。雷鳴が弾けるように轟いた。
終わりを告げる鳴動。
始まりを知らせる鐘の音。
空を引き裂く一筋の閃光が、世界を一変させる雷光であることに、人々が気付くことはないだろう。
天高く舞う煙はさながら狼煙のようでいて、絶望を運ぶ魔手の如く怪しくうねり、非日常へと誘う道しるべのような姿をして、俺達を飲み込んでいく。
騒動の中心の朝に、鳥のさえずりが寂しく輝いた。これこそが終焉なのかもしれない。空を彩る陽の光は希望を示すのならば、この陽射しも、人々の希望になりえるのだろうか。
一見静寂を纏った街に、荒廃した魂が蔓延っている。
世界には『表』があり、背中合わせに『裏』がある。
『表』は光で、『裏』は闇。
『魔術』
人々は知らない。だが、確かにこの世界には存在するのだ。
『光』を守るのか、『光』を壊すのか。
『魔術』という名の両刃の剣は、必ずどこかに牙を剥き、必ず何かから、誰かを守る。
扱う人間の匙加減一つで、世界の『闇』は、如何様にもなるのだ。
正義はあるのか。悪は死すのか。答えはまだ、どこにもない。求め続ける限り、迷い、苦しむのだろう。
それでも、抗い続ける存在がある。足掻き続ける『闇』がある。
諦め知らずの雑兵は、汗と埃にまみれ、それでも命の火を燃やし続ける。
その姿は――紛れもなく、世界に蠢く、一つの闇だった。
そして。
人が目指すべき高みは。
『闇』の彼方で天上を越え。
――神の魔術師――
そこに、行き着く。
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