竜との契約

一日あい

第1話

教務室へ押し掛けてきて騒ぐのはいつものことだった。持ち込んだ菓子を食い散らかし、叱っても右から左。

試験後でもあるし、多少は目をつぶろう。

ひとしきり騒いだあと、友人達が出て行って、残ったリョクにそういえばと聞いた。

「お前、ミズキから竜の召喚魔法、もらったか?」

「ううん、まだだよ」

ちょっと考える。竜との契約もしなきゃならない。

そして確か週末は連休だ。

「うーん…」

「何?」

ちらりとリョクを見て、もう一度唸った。

「何だよ、先生」

怪訝そうに見つめるリョク。

予定はさくさく進めるべきだろう。

「明後日の夜、準備して、俺の部屋へ来い」

「うん、分かった」

すごくいい笑顔で頷いた。

こういうところは、素直でとてもかわいい。

「えへへー」

椅子の後ろから、抱きついてくる。

「おい、重い」

そう言われても嬉しそうに、頬を擦り寄せて笑う。

「先生、大好き」

苦笑して、その頭を撫でてやった。

弟子は先生が好きだ。大好きだというものを、無下にする先生もいない。何をしてもされても、まず許している。


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